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「おめでとう。もう、やめていいのです。皆さんは」 天冥の標Ⅵ 宿怨 PART2 目次 あらすじ ストーリー序章登場人物 用語・情報 第一章登場人物 用語・情報 第二章登場人物 用語・情報 第三章登場人物 用語・情報 第四章登場人物 用語・情報 第五章登場人物 用語・情報 第六章登場人物 用語・情報 第七章登場人物 用語・情報 終章登場人物 用語・情報 登場人物まとめ ** 地名まとめ 小ネタ用語の意味・由来まとめ 章タイトル その他 謎・伏線・リンク序章 あらさがし コメント欄 あらすじ ストーリー 序章 登場人物 用語・情報 第一章 登場人物 用語・情報 第二章 登場人物 用語・情報 第三章 登場人物 用語・情報 第四章 登場人物 用語・情報 第五章 登場人物 用語・情報 第六章 登場人物 用語・情報 第七章 登場人物 用語・情報 終章 登場人物 用語・情報 登場人物まとめ * * [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] 地名まとめ [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] 小ネタ 用語の意味・由来まとめ 章タイトル その他 謎・伏線・リンク ※後の展開の内容を含みます。ネタバレ注意!! 序章 あらさがし コメント欄 名前 コメント
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──西暦2499年。少女イサリ・ヤヒロは、少年アイネイア・セアキに出会う。 天冥の標Ⅵ 宿怨 PART1 目次 あらすじ ストーリー序章登場人物 用語・情報 第一章登場人物 用語・情報 第二章登場人物 用語・情報 第三章登場人物 用語・情報 第四章登場人物 用語・情報 第五章登場人物 用語・情報 第六章登場人物 用語・情報 第七章登場人物 用語・情報 終章登場人物 用語・情報 登場人物まとめ ** 地名まとめ 小ネタ用語の意味・由来まとめ 章タイトル その他 謎・伏線・リンク序章 あらさがし コメント欄 あらすじ ストーリー 序章 登場人物 用語・情報 第一章 登場人物 用語・情報 第二章 登場人物 用語・情報 第三章 登場人物 用語・情報 第四章 登場人物 用語・情報 第五章 登場人物 用語・情報 第六章 登場人物 用語・情報 第七章 登場人物 用語・情報 終章 登場人物 用語・情報 登場人物まとめ * * [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] 地名まとめ [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] 小ネタ 用語の意味・由来まとめ 章タイトル その他 謎・伏線・リンク ※後の展開の内容を含みます。ネタバレ注意!! 序章 あらさがし コメント欄 名前 コメント
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「あたしたちは、取り戻すんだ。あたしたちのものだったここを、そいつから取り戻すんだ!」 天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART1 (ハヤカワ文庫JA) 目次 あらすじ ストーリー序章登場人物 用語・情報 第一章登場人物 用語・情報 第二章登場人物 用語・情報 第三章登場人物 用語・情報 第四章登場人物 用語・情報 第五章登場人物 用語・情報 第六章登場人物 用語・情報 第七章登場人物 用語・情報 終章登場人物 用語・情報 登場人物まとめ ** 地名まとめ 小ネタ用語の意味・由来まとめ 章タイトル その他 謎・伏線・リンク序章 あらさがし コメント欄 あらすじ ストーリー 序章 登場人物 用語・情報 第一章 登場人物 用語・情報 第二章 登場人物 用語・情報 第三章 登場人物 用語・情報 第四章 登場人物 用語・情報 第五章 登場人物 用語・情報 第六章 登場人物 用語・情報 第七章 登場人物 用語・情報 終章 登場人物 用語・情報 登場人物まとめ * * [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] 地名まとめ [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] 小ネタ 用語の意味・由来まとめ 章タイトル その他 謎・伏線・リンク ※後の展開の内容を含みます。ネタバレ注意!! 序章 あらさがし コメント欄 名前 コメント
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「待っていろ……ひっくり返してやるからな、このすべてを」 天冥の標Ⅸ ヒトであるヒトとないヒトと PART2 (ハヤカワ文庫JA) 目次 あらすじ ストーリー序章登場人物 用語・情報 第一章登場人物 用語・情報 第二章登場人物 用語・情報 第三章登場人物 用語・情報 第四章登場人物 用語・情報 第五章登場人物 用語・情報 第六章登場人物 用語・情報 第七章登場人物 用語・情報 終章登場人物 用語・情報 登場人物まとめ ** 地名まとめ 小ネタ用語の意味・由来まとめ 章タイトル その他 謎・伏線・リンク序章 あらさがし コメント欄 あらすじ ストーリー 序章 登場人物 用語・情報 第一章 登場人物 用語・情報 第二章 登場人物 用語・情報 第三章 登場人物 用語・情報 第四章 登場人物 用語・情報 第五章 登場人物 用語・情報 第六章 登場人物 用語・情報 第七章 登場人物 用語・情報 終章 登場人物 用語・情報 登場人物まとめ * * [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] 地名まとめ [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] 小ネタ 用語の意味・由来まとめ 章タイトル その他 謎・伏線・リンク ※後の展開の内容を含みます。ネタバレ注意!! 序章 あらさがし コメント欄 名前 コメント
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あらすじ ストーリー第二部 西暦二五〇二年 (承前)第四章 嚙み砕く者 第五章 天冥の標 第六章 戦いの踊り 第七章 祝宴 最終章 全太陽系応答なし 情報 タイムライン オマージュ あらさがし 登場人物 地名 あらすじ プラクティス(救世群)は多くの都市を降伏させ、各都市に総督が派遣される。パナストロ(汎天体動的共同体)の首都ヒエロンで始まった、人類の行く末を賭けたひそかな攻防。アイネイアが乗り込んだドロテア・ワットとプラクティス艦隊の死闘。その決着の果てに、プラクティスは全太陽系で原種冥王斑を散布した。 ストーリー 第二部 西暦二五〇二年 (承前) 第四章 嚙み砕く者 まとめ 開戦から2ヶ月。数十の都市が降伏し、太陽系はプラクティスの支配下に入りつつあった。プラクティスにとってはすべてが順調に思われたが、クラスト(硬殻体)の生殖能力が奪われたと知ったオガシが激昂し、月面キュンティア基地にいたシグムントをはじめとするアンチ・オックスやカルミアンを虐殺する。 エウレカで知らせを受けたロサリオはカルミアンに確認し、ヤヒロの血縁7人以外の生殖能力が失われたと知る。カルミアンは、クラストを人間に戻すためには全員分のセルマップが必要で、そのバックアップデータを得るためには“セレスを丸呑みして、ジニ号を引っ張”らなければならないと言う。 2502年9月。カルミアンを使った電子戦闘の末、ブラス・ウォッチは地球近くに潜伏しているシステムフリート(太陽系艦隊)の主力艦隊1000隻を接収する。 ミヒルはディエゴという男の記憶と先入観を封じて誘惑し、生きたまま八つ裂きにする。その後ラゴスに、自身が3歳のとき冥王斑にもう一度感染していたこと、頑強な人間に冥王斑をうつしていたのは、優れた冥王斑患者との間に子供をつくるためだということを語る。 システムフリートを掌握したプラクティスは、巫議と呼ばれる冥王斑患者群連絡会議の議員たちを、代官(フォークト)として太陽系各地に送り出した。巫議ノルベール・シュタンドーレは、パナストロの首都ヒエロンに降り立った。 情報・謎・他 ロサリオの部下 (p.20) テラン、クマガイ、エルンスト、ビリバンティ 生殖能力を持つプラクティス (p.22) モウサ・ヤヒロ、アダ・ヤヒロ、オガシ・ヤヒロ、イサリ・ヤヒロ、ミヒル・ヤヒロ、ティコ・イェン、ホナフェイ・ケラチの7名。 ティコ・イェンは、アダの姉であるホナフェイ・ケラチとモウサの不義密通で生まれた子。 生殖能力を奪われたのは19万2154人。 カルミアンの習性 (p.24) 怯えると互いの脇や腹に鼻面を突っ込んで完全な防御態勢をとる。ミスン星では嵐や雷をそのようにやり過ごしていた(それで対応できない強敵がいなかった)と考えられる。 ミヒルに八つ裂きにされた男(p.65,70) ディエゴ・「八起き」・ヘルゲン。40代後半の男性。小惑星ダビダ攻略作戦、地獄のハンベルダ双胴都市耐久、18次にわたるデイモス割譲交渉で勝利を収めた、ニューボンベイ共同体防衛軍きっての闘将。部下の命と引き換えに、プラクティスに投降した。 ハニカムがエウレカと結合してから、ノームの数は大幅に増えている。(p.74) 第五章 天冥の標 まとめ 2502年9月14日、パナストロ派遣総督シュタンドーレとその妻エフェーミアら数体のクラストが、ヒエロンの繁華街エディントン・ピットを訪れる。シュタンドーレはこの地区の接収を宣言し、反抗した警官を殺害する。 同日深夜、シュタンドーレらを迎えたパナストロの商務大臣ブレイド・ヴァンディが、ヴァンディ農場に帰宅する。そこで待っていたメララ・テルッセンと一頭の羊が、ノルルスカインの誕生から、いま太陽系で繰り広げられているミスチフとの新たな戦いまでを語る。さらに、プラクティスのなかにいる、ミスチフよりノルルスカインより強い何者かを味方にするため、シュタンドーレを仲間に引き入れるよう要求した。メララが自室に下がったあと、ブレイドは妻アリカが持つ「お荷物」について聞き、裏付けを得る。 ブレイドがシュタンドーレ総督の応対を務めることになる。すぐにエディントン・ピットを訪れたブレイドは、プラクティスらと一緒にそこに住むことを申し出る。シュタンドーレはブレイドのヘルメットをとって恫喝するが、やがて冥王斑には感染しないことを告げ、何事もなかったかのように視察を始める。 ヴァンディ一家はシュタンドーレが住む館の隣に移り住み、昼食会に日参するようになる。ブレイドたちは、プラクティスのなかにある人間性を知るようになっていく。一方、連絡医師団のディトマール・セアキはパラスで防疫に協力しながら、プラクティスへの対抗策を練っていた。 メララも同席した昼食会のあと、ブレイドは十数人のヒエロン市民に襲撃された。目覚めたブレイドは、シュタンドーレに呼ばれてプラクティスの船ソウヤマル号に乗り込む。盗聴不可能なその空間で、シュタンドーレ自身は無差別殺戮どころか侵略と支配も望んでいないことを語る。皇帝モウサへの対抗策を話しはじめた二人のもとに、ロイズの艦隊がプラクティスに打撃を与えたという報が入る。 同時刻、ヒエロン宇宙港ではディトマールら連絡医師団が、冥王斑ウィルスの入ったボールの研究を進めていた。ボールはツェンバーガーのスパイス、レッドホットキッスに含まれており、連絡医師団全員の体にすでに入り込んでいた。 情報・謎・他 ヒエロンの壁鉄(p.92-) パナストロの首都ヒエロンの地区間主壁の内部には、300年前(2200年ごろ)つくられた壁内鉄道(壁鉄)が走っている。パラスは低重力天体のため路面摩擦が低く車輪機械の加減速が難しく、リニアモーター機関で動く。 ヴァンディ農場の設備(p.104,106) 汎用宇宙船3隻を所有。アケボシを栽培する農室は16室、80ヘクタールの多層地下農場で、3000本の果樹を育てる。 メララと羊が語った詳細(p.112-) ノルルスカインがオルバース農場の羊にこもったのは、オルバース農場の回線整備が良くないので探知と襲撃から逃れやすいから。ロイズ非分極保険社団にはミスチフが潜んでおり、ロイズは太陽系の占領を狙っている。 メララと羊が語った詳細2 冥王斑について(p.114-) ・冥王斑は、過去にミスチフが人類の遺伝子を均質化するために送り込んだウィルスによって生まれた。 ・人類の9割を殺して残りを自身の生態系に組み込むつもりでいたが、人間が冥王斑を食い止めたため、この作戦は打ち切りになった。それを知らずに、プラクティスはロイズ(ミスチフ)と対立している。 アリカの「お荷物」(p.118-) ・ひいひいひいお婆ちゃんのアニーから代々受け継いだ、ある種の知識の塊。アニーに個体展開したノルルスカインが持っていた知識のサブセット。 ・アリカの息子であるジョージは「お荷物」を受け継いでいないのか?(p.118-) パナストロ(汎天体動的共同体)の歴史(p.122,123) 22世紀末に成立。200の天体のうち5つや6つは毎年入れ替わる。 ・2502年政権大統領 ル・アルフィネール ・航海大臣 ジャルカハン(宇宙軍を管掌する、事実上のナンバー2) パナストロの首都ヒエロン(p.126) ・東西南北500メートルほどのブロックがいくつも並んでいる。 ・ブロックとブロックの間は20メートルで、その中に壁鉄や電気空調などのインフラ施設がある。 ・エディントン・ピットの人口は3万5千人。 シュタンドーレ家のルーツ(p.134) ヤヒロ家に次ぐ古い家柄で、ココ島に住んでいた。 プラクティスに接収されたヒエロンの有力企業 (p.163) ・生命医学企業のゲゼルシャフト・ヤマナカ・サンド・インデュストリー社 (京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥先生とつながり??) ・機械工業のジレリオ・メクテック社 ・天然食料栽培コンサルタントのシェンノン事務所 シュタンドーレがソウヤマル号で語った内容(p.177-) ・タレットの存在 ・冥王斑の散布は皇帝モウサの直接命令による ・プラクティスがヒエロン市内を盗聴している ・ブレイド襲撃の黒幕は航海大臣ジャカルハン ・総督たちは冥王斑散布の方法を知らない ・各都市にひとつずつプラクティスの居住区をつくることで和解できるのではないか 冥王斑の入ったボール(p.195-) シリコンとカルシウムの化合物に、精密な機械加工を施して作られている。極めて頑丈で、塩酸でも分解されない。口から入ると歯の微細な隙間に入り込み、時間が経つと扁桃腺などの粘膜で定着する。 第六章 戦いの踊り まとめ 2502年10月末。皇帝モウサが率いるセレス攻略艦隊は、システムフリート予備艦隊との戦闘に勝利した直後、ドロテア・ワットに遭遇。乗っている何者かは「ノイジーラント大主教国の戦艦ドロテア」を名乗り、砲口をプラクティスに向けた。 ドロテアでは、アイネイアがフェオドールの助けを借りてプラクティス艦隊と戦っていた。皇帝モウサの乗った旗艦を撃沈し、プラクティス艦隊を降伏させる。11月21日、システムフリート司令部はプラクティスの本拠地エウレカを破壊。しかし、プラクティスの構成員は脱出した。 ドロテアの襲来を知ったプラクティスはエウレカを捨てハニカムに移り住み、オガシが准帝に即位した。イサリはアイネイアがドロテアに乗っている可能性に思い至る。2502年12月5日、システムフリートは地球と火星の間でプラクティスの主力艦隊を発見し、戦闘開始を宣言した。 オガシとワイラケイ会派の新司令官ヅァーカは、ハニカムに艦隊の位置を教えた内通者がいると疑う。12月7日、ミサイルの着弾で戦局が動き出す。フェオドールはブラス・ウォッチ艦を壊滅させるが、オガシの艦隊がドロテアの底に向かい進撃してくる。 クラストの戦闘員2000名とワイラケイ会派のミスカが錨鎖口からドロテア内部に突入。フェオドールが内部で待ち構え、これまでにミスチフが集めた生物を使って戦闘員を虐殺する。冥王斑をもたらした存在に気づき、怒り狂ったオガシが咀嚼者(フェロシアン)に変化するのを見たミスカは、彼を射殺する。 情報・謎・他 プラクティスのセレス攻略艦隊(p.202) ・カルミアンの技術でつくられたCシップを原型に武装した高性能艦31隻からなる。ホーマン軌道所要速度の4倍で飛び、各艦の躯体は60メートルほど。 ・皇帝モウサが乗る旗艦はグタン。 ・乗組員は武辺30名。 ノイジーラントとイギリスの関係(p.204) ノイジーラント大主教国の国王はイギリス国王。主神はアングリカン(イギリス国教会と、それがイギリスの世界進出に伴い各地に広がったもの)の神様。 10月末、ドロテアの前にプラクティスと戦った艦隊(p.208-) イスラム巡礼艦隊の司令官ディートリンデ・アブラハム・ザムーリ少将が、システムフリート予備艦隊409隻を率いる。ロイズの旗艦アストライア級法廷戦艦ハムレットが同行し、7名の従軍国際司法裁判官7名のうち3人が死亡、一人が心肺停止。 アイネイアがドロテア・ワットに乗ったときのこと(p.229-) ・ドロテア・ワットに入るとフェオドールが喋りはじめた。これまでドロテア・ワットに潜む敵ミスチフを抑えこみ続けてきた、「ダダーのノルルスカインの思考ストリームのひとつ、フェオドール」を名乗る。 ・アイネイアが監禁されていたのは2502年7月ごろ(Ⅵ-PART2,p.321など)。ドロテア・ワットを初めて動かしたのは9月末〜10月(Ⅵ-PART3,p.240)。移動に2ヶ月? ドロテア・ワットの正体(p.231) ミスチフが8700年前につくった、文明攻略用の移動要塞。知的文明の前に吊り下げる一種の餌。エネルギー密度が高く、自然物とは考え難いパターンを持つ遺物で興味を惹きつける。 クトコトの出自(p.233) ミスチフが200万年ほど前にスィルカマンジロゲフィラニセオルクという惑星で得た生物。年に2回運航する宇宙ロケットに寄生するかたちで進化し、宇宙空間と地上を往復する生活環を持つようになった。 12月5日の戦い 双方の戦力(p.264-) ・プラクティス ブラス・ウォッチ艦隊が71隻。すべてCシップ システムフリートから接収したものが706隻 ・ロイズ システムフリートが170隻あまり。 ドロテア・ワット ドロテア・ワットでクラストを襲った「灰色の魚象」(p.296-) 美しい8つの青縞のある惑星に住む肉食生物。長い鼻、分厚い鰭脚。潜水艇の窓のように丸く硬い、まぶたのない黒い目。高密度気体メタンの気洋中層に浮かんでいる。 第七章 祝宴 まとめ 2502年12月7日午前3時25分、プラクティスの艦隊は行動不能に。イサリとロサリオは降伏しようとするが、ミヒルはプラクティスの不妊を明かして人々を扇動し、ロサリオを捕らえる。イサリはミヒルがドロテアと組んでこの事態を仕組んでいたことを知る。彼女を恐れるイサリへの報復として、ミヒルはアイネイアを冥王斑に感染させる。フェオドールはアイネイアに、自分がすでにオムニフロラの窓口であること、母ジェズベルもそうであることを語る。 モウサの死後も、ブレイドとシュタンドーレは、ヒエロンにプラクティスの居住区を作るための密議を続けていた。12月7日午前5時、大統領官邸にいたブレイドのもとに、シュタンドーレ総督から電話が入る。彼は、これからプラクティスから発表される降伏宣言は偽物であるから耳を貸してはいけない、ロイズに新リーダーを捕らえさせるようにと伝えた。通話ののち、プラクティスから太陽系全通信網に通信が入り、太陽系帝国最終皇帝を名乗るミヒルの動像が流れる。ディトマールは、その動像こそが発病のトリガーだったと気づく。ロイズの勝利を知ったメララは、身ひとつで家を飛び出しエディントン・ピットに忍び込む。パナストロの兵士に襲撃されたシュタンドーレはメララに、妻エフェーミアを頼って逃れるよう告げて息絶える。メララの家族は既に感染しており、メララはヒツジと共にソウヤマル号で脱出した。 ノームの数が全体の半数を超えたことでラゴスは決意を固め、ラバーズ(恋人たち)はプラクティスのもとを離れる。 情報・謎・他 12月7日戦闘中止時のプラクティスの戦力は47隻(p.306) プラクティスの生き残り(p.322) ミヒルのクーデター時点で、プラクティスの人口は17万3250人。 セアキ・ジュノと別れてドロテア・ワットに残ったフェオドールは、数時間後にはアイデンティティを保てなくなっていた。(「天冥の標」Ⅲ第六章4のあと)(p.326) ミスチフは、オムニフロラの血中藻類を使って人間を操る。その状態になった人間は「血脈(リネージ)」に加わったと表現される。(p.327,331) カルミアンがミヒルに従う理由(p.334) カルミアンは、クラストが怒りと恨みの感情によって質的に違う生き物に変わってしまったため、反抗が不可能になった。 最終章 全太陽系応答なし まとめ アイネイアが目覚めると、冥王斑は完治していた。イサリが彼を助け出してシェパード号で離れていくラバーズに預け、そこには以前カルミアンに作らせた冥王斑根治薬があった。ラゴスはアイネイアに、ラバーズをセレスで受け入れてくれるよう頼む。冥王斑は人類社会全体に広がり、大都市は冥王斑と火災と暴動に襲われていた。 ヒエロンの都市機能は失われていき、生存者300名ほどを受け入れたソウヤマル号はセレスへ発つ。ブレイドはメララにジョージの居所を告げた。 セレスから3000キロの位置に滞空するジニ号で、ミゲラはアイネイアから無事を知らせるメールを受け取った。セレスの秩序も乱れていくなか、太陽系にとどまるかどうかの議論が行われる。12月28日、ジニ号はロイズの襲撃を受ける。冷凍睡眠技術を強奪にきたジェズベルとジニ号の乗組員が対峙するところに、アイネイアが現れる。ジニ号の竜骨を外し、エアロックを解放して逃れるが、このままでは数時間でセレスに墜落するという。ジニ号はシェパード号を巻き込んで、セレス・シティから100キロの位置に墜落する。 ジョージはMHD社でナシュリンガを引き取る。コニストン湖畔のアイネイア宅でエレオノーラに会い、地下道からブラックボルト社のシェルターに戻る。墜落を生き延びたアイネイアはミゲラと再会する。2502年12月29日、ロイズの経営陣がすべて死亡し、消滅する。冥王斑の混乱は地球でも拡大し、主小惑星帯の天体と宇宙船は次々と消息を絶った。 情報・謎・他 シェパード号の乗組員(p.400-) 総勢五千数百人のラバーズを折りたたみ、蛋白機械(プロトロボット)として乗っているのは十数名。名前が出ているのは以下。 ・ラゴス ・スキットル ・一旋次 ・アリアドネー 冥王斑が治り、アイネイアが目覚めたのは12月21日の1週間前なので、12月14日(p.403) 原種冥王斑が発生した国(p.403) パナストロ、イスラム巡礼艦隊、サンタクルス・クリオーリョ、軌道ナイジェリア共和国、緑の申し子たち(プランツチャイルズ)、マニ本地回復兵団 人類社会の広がり(p.404) 主小惑星帯(メインベルト)を中心に、12125個の有人植民天体。冥王斑感染が報告されたのはそのうち1/6以下。 冥王斑カプセルを壊す仕組み(p.405-) 六重のカプセル(A/軽度の感染症をもたらすウィルス)と十八重のカプセル(B/冥王斑ウィルス)を何百種類もつくる。どのカプセルも、それぞれ決まった和音を聞かせたときに割れる。AとBをセットにし、その組み合わせを記録しておく。太陽系全体に行き渡らせたところで、CMなどを使って特定のAを割る。軽度な感染症の情報が太陽系保健機構に報告され、どこにどのAがあるのか(=それとセットであるBがあるのか)わかる。本番では、政見放送に目的のBを割る和音を載せる。 オガシとミヒルの特定の言葉が、すべてのボールを割るキーになっている。 軌道ナイジェリア共和国の首都はプレスビュテル・ヨハネス。(p.411) ヒエロンでの冥王斑感染(p.418-) ミヒルの放送から4日目(12月11日)に60 %を超える。 8日目(12月15日)にアリカ死去 墜落前、ジニ号の甲板長(ボースン)は鳳(フォン)(p.456) MHD社のロボットを動かすマスター・コードの紛失(p.474) アイアイ・ラウンツィユリーはマニュアルメイカーのなかでほぼ最後まで生き残り、MHDのFOO代行代理に就任。12月29日、すべてのロボットを誰でも使えるようになるマスター・イマンスペート・コードを解放しようとするが、暴徒に襲撃されて死亡。 情報 タイムライン 日 付 で き ご と オマージュ あらさがし 登場人物 地名
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『天冥の標』(てんめいのしるべ)は、小川一水(おがわいっすい)氏による大長編SF小説です。 全10巻の書き下ろし作品で、早川書房よりハヤカワ文庫JAとして刊行されています。 ※ただし分冊されることがありますので、冊数としては計17冊となります。 タイトルの「天冥」という言葉、調べてもなかなか見つかりません。作者の造語の可能性もあります。 入手方法 ジャンル/特徴/おもしろさ/おすすめ ストーリー 各巻一覧 外部リンク 入手方法 刊行期間は2009年〜2019年。2018年12月20日現在、10巻PART1まで刊行済み。既刊は近所の本屋さん、作者のHP、オンラインストア等で購入できます。 絶版にはなっていませんので、店頭在庫がないとしても注文すれば手に入ります。 ジャンル/特徴/おもしろさ/おすすめ 膨大なボリュームゆえに、ジャンルとしては無数の側面をもちます。 ハードSFでもあり、ファースト・コンタクトものでもあり、未来SFでもあり、SF大河小説でもあり、SF群像小説でもあります。 第1巻で結末の一部がまず語られ、第2巻からはそこに至る経緯が示され、最終的に第1巻の向こう側にある真の結末に至る(と思われる)という、特徴的な構成です。 散りばめられた数多くの謎が、巻を追うごとに明らかになっていきます。 第1巻を読んだ時点では全貌が掴めませんが、巻を重ねるごとに「なるほど!」とか「もしかしてこれは!?」となれる楽しみがあります。 一方で、謎が謎を呼ぶこともしばしば。精密なプロットと巧妙なストーリーリングは、読者の好奇心を駆り立ててやみません。 一度読むだけでなく、何度も読み返すことも楽しさの一つでしょう。 また、本作には随所に生物学や天文学などの幅広いトリビアが含まれていますので、調べながら読むのも楽しさの一つでしょう。 他のSF作品へのオマージュも見受けられます。 作品のキーワードをあげるとすると、 異星人、ウィルス、裏切り、軌道エレベーター、近未来史、じれったい、侵略、せつない、テラフォーミング、バイオテクノロジー、メインベルト、ユ・クルール などなどなどです。 (※五十音順) 作者の他の作品が好きな方におすすめなのはもちろん、上記ジャンルのSFが好きな方、上記の楽しみ方が好きな方、またキーワードにゾクゾクする方にも大いにオススメできます。 ストーリー 左メニューの「ストーリーガイド」を参照してください。 各巻一覧 第1巻(上) タイトル I メニー・メニー・シープ 上 刊行日 2009/09/18 ISBN 978-4-15-030968-8 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S ハーブCの主都オリゲネスのフォートピークの景色か? 帯情報 星を灯す。満を持して放つ超巨大シリーズ開幕。『第六大陸』の夢、『復活の地』の熱、『老ヴォールの惑星』の知――小川一水のすべての宇宙がここに 第1巻(下) タイトル I メニー・メニー・シープ 下 刊行日 2009/09/18 ISBN 978-4-15-030969-5 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S ハーブCの主都オリゲネスのフォートピークの景色か? 帯情報 時を刻す。2010年代のSFはここから始まる。『天涯の砦』の闇、『時砂の王』の愛、『フリーランチの時代』の粋――小川一水のすべての未来がここに世界を救う悪鬼たちと冷酷な聖者、そして疫病「冥王斑」とは?(II 救世群) 第2巻 タイトル II 救世群 刊行日 2010/03/05 前巻より半年後 ISBN 978-4-15-030988-6 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S 冥王斑患者が隔離されている国立競技場 帯情報 心を裂く。人類の運命を変えた始まりの物語。西暦201X年、国立感染症研究所の児玉は、謎の疫病発生の報にパラオへと向かう。アウレーリア艦長とアンチ・オックス「酸素要らず」の一統が、奪われた忘却炉ドロテア・ワットを追う!(III アウレーリア一統) 第3巻 タイトル III アウレーリア一統 刊行日 2010/07/09 前巻より4ヵ月後 ISBN 978-4-15-031003-5 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S ノイジーラントの強襲砲艦エスレルを船首方向から。フライングバットレスを展開し減速強襲中である。しかし船首にあるという八角錘形の船首防御シールドとその先端にあるという乙女像が見当たらない? 帯情報 空を希う。怒り、溜め、撃ち放せ! 大気なくとも大地あり!《酸素いらず》の艦長アダムス・アウレーリアは、伝説の動力炉ドロテアの行方を追うが――「守らせてください、従わせてください。わたしに生きる許しをください。――わたしたちは何なのですか?」 (IV 機械じかけの子息たち) 第4巻 タイトル IV 機械じかけの子息たち 刊行日 2011/05/20 前巻より10ヵ月後 ISBN 978-4-15-031033-2 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S (不明) 帯情報 肌が咽ぶ。服は着ないの。ごめんね。恥ずかしいね。性愛の奉仕を持って人に喜ばれなさい――かつて大師父は仰せられた。「貴様は、何が見たい?」「ヒトが、可憐に滅んでゆく姿を」(V 羊と猿と百掬の銀河) 第5巻 タイトル V 羊と猿と百掬の銀河 刊行日 2011/11/25 前巻より半年後 ISBN 978-4-15-031050-9 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S (不明) 帯情報 天が翳る。大丈夫だよ。どんな種も絶滅させないから。農夫タック・ヴァンディには未来が見えなかった。ダダーのノルルスカインにも――――おめでとう。もう、やめていいのです。―(VI 宿怨 PART1) 第6巻 PART1 タイトル VI 宿怨 PART1 刊行日 2012/05/10 前巻より半年後 ISBN 978-4-15-031067-7 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S スカイシー3のNm099シリンダーにたたずむ二人。アイネイアとイサリか? 帯情報 絆が猛る。それが報いとなる、あれだけの善意に気づかなかった鈍感さの。少年の無私の優しさに少女が触れたとき、太陽系世界は大いなる転機を迎える。――おめでとう。もう、やめていいのです。―(VI 宿怨 PART2) 第6巻 PART2 タイトル VI 宿怨 PART2 刊行日 2012/08/24 前巻より3ヵ月後 ISBN 978-4-15-031080-6 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S 赤い空のもとにたたずむクラスト化された二人。 帯情報 望みを絶つ。われわれは静穏であり、攻撃しません。共同して働きます。太陽系を訪れた無垢にして強大なる者たち、地球への帰還を祈るものたち、そして――病んだ者も、姿なき者も、戦う者も、みなみな倒れてゆく。太陽系、応答無し。「なあ、誰も残っていないのか?」(VI 宿怨 PART3) 第6巻 PART3 タイトル VI 宿怨 PART3 刊行日 2013年1月25日 前巻より5ヵ月後 ISBN 978-4-15-031094-3 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S 帯情報 さようなら、みんな。シリーズ中盤のクライマックス、遂に完結 第7巻 タイトル VII 新世界ハーブC 刊行日 2013年12月19日 ISBN 978-4-15-031139-1 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S ブラックチェンバー? 帯情報 第7巻のさらなる絶望男性24905名。女性27339名。成人1029名。残存人類、52244名。 第8巻 PART1 タイトル VIII ジャイアント・アーク PART1 刊行日 2014年5月23日 ISBN 978-4-15-031139-1 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S フォートピークを見つめるイサリ? 帯情報 すべての因果がめぐる第8巻人類最後の生き残り、「植民地」メニー・メニー・シープの二百万人。彼らはどこにいたのか。彼らは何に襲われたのか。彼らを誰が見ていたのか。そして銀河の何者たちが、彼らを待ち構えているのか。 第8巻 PART2 タイトル VIII ジャイアント・アーク PART1 刊行日 2014年12月19日 ISBN 978-4-15-031169-8 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S 炎上するフォートピーク? 帯情報 ふたたび物語は動き始める―第8巻後篇男たちは過去に埋もれた真実を探して登り、あるひとつの想いを知る。女たちは散り砕けた吹雪の世界を結ぶため、炎の道を描く。 第9巻 PART1 タイトル IX ヒトであるヒトとないヒトと PART1 刊行日 2015年12月18日 ISBN 978-4-15-031213-8 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S カルミアン母星? 帯情報 世界の真実はどこに?―第9巻前篇ホモ・サピエンス MMS人 倫理兵器 に惑星天体連合軍 フェオドール 《酸素いらず》《恋人たち》カルミアン 非展開体ダダー ミスン族総女王 ミスチフ 万能植生 《救世群》 第9巻 PART2 タイトル IX ヒトであるヒトとないヒトと PART2 刊行日 2016年10月21日 ISBN 978-4-15-031231-2 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S 不明。DOC? 帯情報 待っていろ……ひっくり返してやるからな、このすべてを。シリーズ第9巻完結篇 「最終巻の手前でのあとがき」収録 第10巻 PART1 タイトル X 青葉よ、豊かなれ PART1 刊行日 2018年12月19日 ISBN 978-4-15-031355-5 表紙 (絵)富安健一郎、(デザイン)岩郷重力+Y.S MMS・2PA連合軍とエンルエンラの艦隊戦 帯情報 シリーズ完結篇、刊行開始#天冥名セリフで読者に募集したセリフが背景に敷き詰められている 作者の小川一水先生による表紙画像一覧ツイート 外部リンク
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真実に肉薄するカドムたち。全てを解き放った先に待つのは希望か、それとも—。 天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA) 目次 あらすじ ストーリー第六章 欠けゆく夏登場人物 用語・情報 第七章 混迷と彷徨登場人物 用語・情報 第八章 臨界の一撃登場人物 用語・情報 第九章 史乗の底より 一巻のためのあとがき 登場人物まとめセナーセー市民 《海の一統》 臨時総督府臨時総督周辺 植民地議会 軍事警察 《石工》 植民地市民 《恋人たち》 羊飼い その他 地名まとめ 謎・伏線・リンク・小ネタ あらさがし コメント欄 あらすじ 西暦2803年、植民星メニー・メニー・シープは入植300周年を迎えようとしていた。 臨時総督府のユレイン三世は植民地全体に配電制限を強め、民衆の生活を圧迫していた。ついに議員エランカを筆頭に民衆が決起、臨時総督府を転覆させる。 カドムらは臨時総督府の中枢フォートピークへの潜入作戦を決行。ついにユレイン三世は発電源である地下のシェパード号の指揮権を放棄し、権限を引き継いだアクリラは植民地全域に電気を行き渡らせる。達成の喜びに浸るアクリラとカドム。しかしその瞬間、地下から《咀嚼者(フェロシアン)》の大群が押し寄せてきた。 ストーリー 第六章 欠けゆく夏 ユレインは、督励金やシェパード号への搭乗権のばら撒きによって官僚を言いくるめ、かろうじて苛政を推進していた。粛清も辞さない彼の強硬な方針に、ジャレドら高級官僚は恐怖をおぼえ、服従を崩せなくなってゆく。 カドムは、医師であり運動家のカンブレンの集会に参加していた。カンブレンら困窮対応運動のメンバーは、住民の総意を示し、勇敢にも領主を批判する姿勢を見せんとしていた。 7月15日、セナーセー湾の南の顎に打ち上げられているアクリラが発見される。母なる大地(テラ・マーテル)号の探索から唯一生還したアクリラ。彼の話を聞き、植民地のあり方に疑問を抱いたキャスランは、ハーブCの秘密を調査するよう指示するのだった。 一方、カドムら困窮対応運動の仲間と共に、カンブレンは臨時総督府に対して挑戦的な公開質問状を提出。しかし、カドムを含め、仲間のほぼ全員が逮捕されてしまう結果となる。 これを受け、キャスランは臨時総督府に対して事実上の反乱を宣言。ユレインの辞任と民選元首の選任を求める公式声明を発表し、植民地全域に同志を募った。 《恋人たち(ラバーズ)》とともに事態を見守るエランカは、自ら議員として行動することを決意する。そんなエランカに、オーロラはなぜか羊飼いを味方につけるよう助言するのだった。 登場人物 ウィッテントン・ランゲルソン ・改良庁長官。 ・数少ない実力派の高級官僚。 クガーシャ・イズミル ・芸術庁長官。 ・ランゲルソンの親しい友人。 ライサ・ザリーチェ ・軍警総監の祖父の元に生まれ、男を籠絡してのし上がってきた クリプト・カンブレン ・「困窮対応運動」指導者の外科医 ・歌手イェン・クーの狙撃事件で救護にあたったことで有名人となった。のちに彼女を妻に迎える ・レンガ色の赤毛 ・彫像のようなきっぱりした顔立ちで、スーツが似合う ・ノルルスカインを知っている スキットル ・髪を原色に染めている 用語・情報 メニー・メニー・シープには首都オリゲネス以外に10の都市がある(p.7) ・人口はそれぞれ5万から8万。人口の多い順に、 セナーセー ニュークァール サッサン ポルト・ヌォボ ヨール ニジニーマルゲリスク ヨンニンチャン ナガサキ ホリンズヘッド トゥイトンガ ※また、ファウンドランドという街もあったが、領主の取引制限により消滅した(上巻p.139) 現在は西暦2803年7月 配電制限率が植民地全域にわたって80%に達している 人類の植民の説明(p.13) ・人類は三百年前までに17の系外星系へと手を伸ばした(p.13) ・シェパード号は18回目の移民(p.13) ・西暦2503年、シェパード号がハーブCに到着した(p.13) ・他の星は相互に交流しているがハーブCだけは孤立している(p.14) ・移民から数百年を経て人類圏は加速度的に広がり星星の交流の網が銀河系を覆うようになった(p.15) シェパード号について ・復元書によればシェパード号の航行は50年(p.16) ・亜光速船で船内時間は1/10(p.17) 領主がシェパード号を復元させると、同時に指揮権の譲渡が可能にもなってしまう(p.36) キャスランの見解 ・ドロテアがハーブCの地下にあるなどという記録はどこにもない。 ・《海の一統(アンチョークス)》は自分達の年代記を持っている(p.70) ・キャスランはこの地がハーブCでないと考えている(p.71) ・ラゴスとキャスランは古い付き合い(p.89) 第七章 混迷と彷徨 セナーセーの反乱に対し、統治の正当性を示すべく年次訓令受命式で演説を行うユレイン。聴衆は喝采を送るが、彼の浮かべる涙に気付く者はなかった。 そしてユレインは、キャスランら《海の一統(アンチョークス)》の逮捕とセナーセー市の武力制圧を指示する。 《海の一統(アンチョークス)》は《恋人たち(ラバーズ)》と同盟し、首都で破壊工作を展開するが、とうとう四隻の警邏艦がセナーセーに向け出発してしまう。 手を尽くして迎撃するキャスランだが、戦況は次第に軍警側へ傾いてゆく。戦火に包まれるセナーセー。市民に甚大な被害が及ぶ中、ついにキャスランは降伏を決意する。 ここにセナーセーは陥落した。 一方、逮捕されたカドムはイサリに助けられるが、カンブレンら困窮対応運動の中核メンバーはユレインの命により既に処刑されていた。 イサリの導きにより避難したサンディバラで、カドムはエランカに出会う。彼女は、地道な根回しによって着実に同志を増やしていたのだ。 ラゴスは、セナーセーの陥落とキャスランの処刑をアクリラに伝える。 絶望に沈むアクリラに対し、アンチョークスとしての矜持を問い質すラゴス。反骨の気概を取り戻したアクリラは、やがて凶暴なまでの意思をその身に宿す。 第八代アウレーリア家艦長(キャプテン)となったアクリラに、ラゴスは絶対の協力を約束する。 登場人物 イサリ ・石工(メイスン)は《咀嚼者(フェロシアン)》の元下僕(p.103) ・自分のことを《咀嚼者(フェロシアン)》と呼ぶ(p.103) ・イサリの体は人間のように柔らかくも細くも無い(p.104) ・体の輪郭はキチン質の甲皮と皮状の結締組織で織り成されており、宇宙服を着た人間やロボットに似ている(p.104) ・甲殻類の仲間とも見える(p.104) アッシュとルッツ ・本名はそれぞれ、アッシュルデン・ブンガーホルとコワルツェン・ヨーゼンハイム(p.157) ・二人はキャスランのことをキャプテンと呼ぶ(p.157) ・ニジニーマルゲリスクの使者と一緒にセナーセーにきた(p.157) ・二人の身元は首都のさる学者に保障されている(p.157) ・二人の所属は星連軍戦略艦隊第三先遣艦群の亜光速投射艦鯨波(ゲイハ)(p.157) ・二人は地球から来た(p.158) ・地球からはSRボートでハーブCに追いついた(p.158) ・蒸散塔の中を下りて地表に辿りついた(p.158) ・その後はあちこち見て回った(p.158) ・植民地から地球へ救助要請を出して欲しいとキャスランに求めた(p.159) アクリラ ・キャスランの若い頃によく似ている(p.175) 用語・情報 メニー・メニー・シープ ・植民地の生物はどれも原種から大きく改造されている 年次訓令受命式(p.91) ・今年は西暦2803年 ・惑星連合は大統領制とみられる。この時の大統領はW・D・ファインボウ ・安全保障会議、植民地統治評価委員会という組織がある 超光速恒星間通信設備(p.92) ・オリゲネスのフォートピークにある一号蒸散塔には超光速恒星間通信設備がある ・第四代甲板長のダーナが故障した超高速恒星間通信設備を修理し、一号蒸散塔の内部に長大なアンテナを設置した 石工(メイスン) ・顔は黄色い。(おそらく老齢の個体)(p.98) 沸き出でる座 ・くぼ地になっていて黒っぽい砂が敷き詰めてある(p.99) ・石工(メイスン)の子供が湧くときはサイレンのような音がする(p.99) ・フォートピークの地下にある(p.101) サンディバラ ・フォートピークから10キロメートル離れている(p.135) セナーセー市の砂州を見下ろす東西に高台があり、風車がある(p.152) 第八章 臨界の一撃 ベンクトによってリリーと名付けられたクレヴの覚醒を特異点として、石工(メイスン) の共意識は思考の精度を急激に上昇させていく。「怒り」という概念を手にした石工(メイスン) たち。彼女らの内面に、決定的な変化が生じ始めていた。 一方、カドムは石工(メイスン) の巣穴を利用して、各都市間の連携強化を裏で支えていた。しかし、カドムの背後には臨時総督府の諜報機関の魔の手が迫っていた。彼の身を案じるイサリ。カドムは彼女の一途な思いに応えられないことに胸を痛めるが、植民地のため危険な道を選ぶ。 遅々として進まない警邏艦の修理に、軍警総監ザリーチェは苛立ちを募らせていた。修理にあたっていた石工が反抗的な態度を取り始めたのである。ザリーチェは、石工の異変に反乱の予兆を感じ取る。 シェパード号の乗船枠の拡大を申請するためユレインのもとを訪れたザリーチェに対し、ユレインはいま許可している乗船枠は空手形であると吐露する。空手形に次々とサインを繰り返しながら、もともと全ては嘘だったとこぼすユレイン。その虚ろな姿に、ザリーチェは言い知れぬ恐怖を感じる。 世界の秘密を背負った青年は、とうの昔にその重みに押し潰されていた。 セナーセー陥落後、《海の一統(アンチョークス)》の生き残りをはじめとする義勇兵たちはカーリンドンに集結していた。中核メンバーの一人となったアクリラが領主打倒を打ち出すと同時に、エランカは新政権樹立を画策する。 カドムたち義勇兵は、軍警を内部から撹乱する作戦を実行する。その最中、彼らは臨時総督府首都調査部の襲撃を受けてしまう。必死に逃走するカドムの前に、あの謎の男、ノルルスカインが現れる。易々と追手を撃退し、カドムに対して謎めいた発言を繰り返すノルルスカイン。彼の真意は… 一方、ついに伯父ジャレドと決別してしまったエランカ。やがて彼女は、世界の掌握を決意する。 登場人物 ギョーム ・義勇兵のひとり。元軍警第三邏団機構歩兵部隊所属の男。軍警を内部から揺るがすカドムの計画に手を貸す。 ・痩せて血色が悪く、オネエ口調。 デュワ ・軍警の兵士。セナーセー攻略戦で従軍していた。がっしりとした体格で肌が黒い。 ・酒場で知り合ったカドムに世話を焼く。 ノルルスカイン ・カドムが大事だと語る ・誰にも従属していない ・体はラバーズから拝借した遠隔操作のロボット。 ・本体は人ではない。自称ソフトウェア。 ・イサリとカドムの繋がりは人類の行く末を左右すると語る ・昔からセアキ家の人々を見てきた ・セアキ家は昔からイサリたちと付き合いがあった。植民地の始まりよりもはるかに古い時代から。 ・もうすぐ植民地の人々はイサリたちと出会う。(両者はそもそもの初めに地球で出会った。) ・ノルルスカインの目的は人類を見守ること。 エランカ ・議員の過半数を味方につけることに成功した 用語・情報 《海の一統(アンチョークス)》 ・見た目より年長。 人形使い(パペッティア) ・先導工兵(パイオニア)の誘導兵。 メニー・メニー・シープ ・全土にわたる環境維持システムが存在している。蒸散塔などを稼働させているもので、停止させると住民が死に絶えるほどの被害を引き起こす(p.209) 第九章 史乗の底より エランカの宣言をラジオで聞いたオリゲネスの市民はこぞって反政府デモを実行するが、臨時総督府はメイスンの部隊で武力鎮圧を始めた。 石工の部隊を連れてカーリンドン地区を襲うザリーチェ。リリーの覚醒も手伝い、ついにザリーチェは倒れる。 フォートピークに潜入するカドムとアクリラは、ついに領主を追い詰める。領主に指揮権を返上させ、配電制限を撤廃するアクリラ。 しかしその瞬間、植民地は闇に包まれ、《咀嚼者》の大群が現れる。突如現れた《咀嚼者》との混戦の中、アクリラはフォートピークの竪穴に落下、消息を断つ。 カドムもまた、ミヒルと呼ばれる《咀嚼者》の手にかかり、あろうことか《咀嚼者》側へ寝返ったイサリに致命傷を与えられてしまう。 騒ぎが収まり廃墟と化した雄閣を訪れるエランカ。だが会いにきたラゴスはおらず、「俺たちは《咀嚼者》に勝てない」という絶望的なメッセージだけが残されていた。 一巻のためのあとがき 「小川さん、次の話、できること全部やっちゃってください」 「あ、はい」 「十巻くらいで」 「おお、すごいですね」 ひとごとか俺。 ━━読み終えたら、ひとまず「ちょ、おいィ!?」と叫ぼう。どうやら、これはそういう話らしいのだ。 登場人物まとめ セナーセー 市民 セアキ・カドム イサリ フェオドール ナウム・プロトー セアキ・タケオ セアキ・サリエ 《海の一統》 [[アクリラ・アウレーリア キャスラン・アウレーリア カヨ ネレイド ドーフィ オシアン サム ユスカ シェーネ レクストン 小ジョージ メイズ サレット ヘンリク 臨時総督府 臨時総督周辺 ユレイン・クリューゲル三世 アンドリュー・メラーズ ウィッテントン・ランゲルソン クガーシャ・イズミル カランドラ メーヌ 植民地議会 エランカ・キドゥルー ジャレド・ノヴォストロイゲ アドルフィーネ・バリッシュ 軍事警察 ライサ・ザリーチェ ダレク・イージーヴィ ウェイ・チェンシー デュワ アルカサル ゲール 《石工》 クレヴ/リリー コービー メメー レト ナジカ ヨギ ラド 植民地市民 クリプト・カンブレン イェン・クー デ・ボア ギョーム 《恋人たち》 ラゴス ベンクト オーロラ スキットル レノア ゲルトールト マユキ ジョセ ヤコブ 《早耳アニー》 羊飼い ポント ヨログ ナキアナ ゴフリ タグラ その他 ノルルスカイン アッシュルデン・ブンガーホル コワルツェン・ヨーゼンハイム ネレンスク アレス 地名まとめ オリゲネスフォートピーク カーリンドン ハンザ セナーセー ニュークァール サッサン ポルト・ヌォボ ヨール ニジニーマルゲリスク ヨンニンチャン ナガサキ ホリンズヘッド トゥイトンガ ファウンドランド サンディバラ ブレスト 謎・伏線・リンク・小ネタ ※後の展開の内容を含みます。ネタバレ注意!! 第6章での人類の系外進出に関する歴史描写は真っ赤な嘘である 「領主が植民地中の資源を吸い集めてシェパード号を飛ばそうとしている〜なぜ、墜落から300年も経った今やるんだい?それは今何かが起こりつつあるからじゃないのかね?」—キャスラン(p.71) ・ 「俺たちは罠だ。人間を惑わせ、たらしこみ、多くの大事なことを忘れさせるために作られた罠だ。甘い蜜をたたえる沼だ」—ラゴス(P.54) ・『IV 機械じかけの子息たち』で語られた《恋人たち(ラバーズ)》の製造理由と異なっており一見不可解だが、おそらくはエランカの発言に対するラゴスの自虐にすぎない。 「氷だ」━━イサリ(p.136) ・植民地の地下には氷があるようだが… →【解決済み】植民地がセレス地下に位置するため。※セレスの地殻はごく薄く、その下のマントルは氷と水でできていると考えられている カドムは地下で音を聞いた(p.137) 「そう言えば、羊そのものもおかしな生き物ね。生物なのに生まれつき体の中に機械が埋まっているなんて……」━━エランカ(p.146) ・羊は「生まれつき」機械をもっている??? 石工(メイスン) の特異な繁殖形態 →【解決済み】南極ハニカムにしか雄がいないため。 カンブレン医師は処刑される間際に「領主(レクター)は真の目的を隠している。フォートピークの地下にシェパード号」と言い残した(p.133) ・実際ほぼその通り(「シェパード号」の正体については真相に到達できなかったようだが)。どのようにしてここまで知り得たのかは不明。 第8章タイトルの「一撃」について ・「クーデター」の語源はフランス語の"coup d État"であり、「国家への『一撃』」という意味 ユレインはザリーチェに、もともと全ては嘘だと語った(p.209) シェパード号の復活を決めたのはユレインではなくダダー(p.210) ノルルスカインによれば、シェパード号に乗らないということはそもそも難しい(p.231) ノルルスカインによれば、カドムとイサリの関係は業の償還(p.233) イサリは、ボースンからシェパード号を奪うことはカドム達にとって危険だと言った(p.255) 第9章タイトルの「史乗」とは、歴史書、年代記のこと ラゴスは石工のことをカルミアン(休息者)と呼ぶ(p.300) 一号蒸散塔の中にはアンテナはなく、螺旋階段だけが続いている(p.306) フォートピークの裏山にはとてつもない規模の竪穴がある(p.306) シェパード号の制御人格であるダダーは、ユレインに代わりアクリラを航行当直として認めた(p.312) 敵 ・ユレインは敵を食い止めるために配電制限をかけていた(p.316) ・ユレインは敵の斥候を倒してきた(p.317) ・人間が地下に手を出すと敵はかぎつける(p.317) ・敵は坑道を掘っており、ミッドゥンバラはその坑道に近い(p.317) ・東の陸地には敵はいない(p.318) ・敵は竪穴からあらわれ翼を持っている ・敵は地面に降りると飛び上がれない(p.342) ユレインの告白 ・蒸散塔や天蓋板の用途をダダーはユレインに教えていなかった(p.318) ・蒸散塔は蒸散塔でない。通信機と同じだ(p.318) ・実は超光速通信は存在しない(p.319) ・毎年執り行っていた年次訓練はダダーのでっち上げ(p.319) 天蓋板が止まると、暗闇が訪れた(p.320) ラバーズは古い記憶の細部を切り捨てる(p.343) スキットルの記憶はラゴスの記憶の部分コピー(p.343) ラゴスの回顧 ・ダダーは、ラバーズとカルミアンの間に割り込んできた(p.343) ・そのときに何かの手違いがあり、危険で邪悪な存在である《咀嚼者》が生まれた(p.343) ・時が流れラバーズは人間とハーブCにたどり着いたが、《咀嚼者》は姿を消した(p.344) ・ダダーが領主を使って《咀嚼者》の目をくらませていた(p.344) あらさがし アクリラについて「彼が溺死しなかったのは〜」(p.58)とあるが、彼はそもそも空気呼吸しないので溺死しないはずである。 コメント欄 名前 コメント
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━━西暦2015年、地球。すべては、ここから始まった。 天冥の標 2 救世群 (ハヤカワ文庫JA) 目次 あらすじ ストーリー序章用語・情報 第一章 南海の邂逅登場人物 用語・情報 第二章 冥王斑登場人物 用語・情報 断章二 ――オビス・ミュシモンからオビス・キュクロプス、そしてクラウドへ――用語・情報 第三章 ネクター登場人物 用語・情報 第四章 エンクロージャー登場人物 用語・情報 終章用語・情報 登場人物まとめ日本国立感染症研究所 国際協力機構(JICA) 外務省 その他 冥王斑患者群連絡会議 パラオ カナダ フィリピン アメリカ疾病予防管理センター(CDC) インドネシア ニハイ村 地名まとめ タイムライン 小ネタ用語の意味・由来まとめ 章タイトル 7つの勢力 その他 謎・フラグ・リンク あらさがし コメント欄 あらすじ 西暦2015年、西太平洋の島国パラオで謎の疫病が発生。医師の児玉圭吾(こだまけいご)と矢来華奈子(やらいかなこ)は現地へ向かい、患者のひとりである檜沢千茅(あいざわちかや)の命を助ける。 冥王斑(めいおうはん)と名付けられた疫病は、高い致死性や性的誘引性など特異な性質を持っていた。中でも最も残酷なのは、生き残った回復者の体内に感染能力を保ったウイルスが残留し、回復者が半永久的に感染源となる点だった。このため、千茅らは隔離の対象となってしまう。 「合宿所」と呼ばれる施設で社会から隔絶された生活を強いられる回復者たちと関わる中で、圭吾は苦悩を深めていく。 一方、千茅の心も、友人紀ノ川青葉(きのかわあおば)との奇妙な交流や、圭吾への淡い恋心に揺り動かされていた。 そんな中、冥王斑は、世界中で大小さまざまな規模のアウトブレイクを繰り返しつつも、徐々に制圧されていく。 しかし回復者の感染能を抑える手段は未だ見つからず、千茅・ジョプら世界中の冥王斑回復者はコスタリカのココ島に隔離されることとなる。彼ら回復者は、ワクチン製造用の血液の提供により世界を救う一団として、自らを救世群(プラクティス)と名付けた。 救世群(プラクティス)の援助組織として設立されたv{連絡医師団}に参加した圭吾と華奈子は、職務に邁進しながらも、彼らの行く末に一抹の憂いを感じずにはいられないのだった…。 ストーリー 序章 「━━煙霧の霊(ガイマー)がどう思っているのか、気になった。」 突如村を襲った疫病により、故郷ニハイ村の一族全てを失った青年ジョプは、悲しみにくれる暇もないまま、機械的に村人の遺体を片付けていた。 仕上げとして、災厄の元凶と思しき秘伝の獣クトコトを始末した帰り、ジョプは吊り橋で足を踏み外し、川に流されてしまう。彼はやがて海に辿り着き、通りかかった貨物船に救助されるのだった。 これこそ、地球人類を数多の生命がひしめく広大な宇宙へと誘う、永きにわたる因縁の始まりであった…… 用語・情報 ジョプの故郷 ・ジョプはニハイ村出身(p.7) ・あたりには277の谷があり、グネ、ウレス、ゴコといった村がある。(p.7) ・はるか南東には大きな村ワメナがある。(p.7) ・ジョプはニハイ村唯一の冥王斑回復者(p.11) ・ニハイ村の住民は200人以上(p.12) ・ニハイ村の正式な葬儀では、参列者が故人の肉を切り取り、蒸して食べるという風習がある。(p.12) ・ニハイ村の族長は代々クトコトの強力なマナを受けることで、かぐわしい芳香をまとい一族を強固に統率してきたが、今回は発病した(p.14) 冥王斑で死んだニハイ村の村人の遺体は、死後4日たっても腐敗していない(p.12) ミスチフ ・天空の霊。三人称は「彼女」(p.8) ・意地悪で人間をもてあそぶ霊(p.19) 第一章 南海の邂逅 西暦2015年3月16日、パラオのプーロソッル島で発生した謎の伝染病の調査のため、児玉圭吾と矢来華奈子は現地へ飛ぶ。 JICAの弥彦進也、外務省の狭雲と共に現地に到着した圭吾と華奈子は、第一通報者であるフェオドールという少年に出会う。彼らは、島のコテージを拠点として調査活動を開始した。 圭吾らが調査を始めた矢先、プーロソッル島にブラザノ率いるWHOのチームやアメリカの混成チームが続々と到着し、現場は混乱。狭雲の交渉により、日本の調査隊にも一定の権限は残された。だが、狭雲は一早くパラオ本島に戻ってしまう。代わって連絡役を買って出たのは、年若きフェオドール少年であった。 二晩徹夜の甲斐あって、圭吾と華奈子の患者の一人檜沢千茅の容態が好転する。じつは、調査隊の到着以前から回復者の黒人(序章に登場したジョプ)が千茅に付き添っていた。圭吾と華奈子は、彼の存在を受け入れる。 残された資料から疫病(仮称 ディジーズP)の潜伏期間が1週間と判明する。ディジーズPは制圧されたかに見えたが、それは島内に限ったことだった。 ジョプを救助した貨物船はフィリピン・ミンダナオ島に入港。すでに、病魔は世界へと広がり始めていた… 登場人物 児玉圭吾 ・国立感染症研究所付属病院の臨床医師(p.28) ・31歳(p.29) ・身長は171センチメートル(p.29) ・元青年海外協力隊員 ・以前華奈子と付き合っていた(p.29) 矢来華奈子 ・身長は170センチメートル(p.29) ・31歳(p.29) ・切れ長の明るい瞳(p.29) ・唇はふっくらとして蟲惑的(p.29) ・結構顎が大きい(p.29) ・ストレートの長い黒髪(p.27,29) ・元青年海外協力隊員 ・専門は感染制御と疫学調査(p.39) 弥彦伸也 ・JICA(国際協力機構)の職員(p.40) 狭雲 ・外務省の官僚(p.41) ・初老の痩せた男(p.46) フェオドール・フィルマン ・髪は金髪で短い。水色の瞳(p.48) ・モントリオールのハイスクールの学生(p.49) ・狭山に代わり児玉達との連絡役を務める(p.72) ・対話型AIについて学んでいる(p.95) セレスタン・フィルマン ・フェオドールの祖父(p.53) ・背の高い壮健そうな銀髪の老人(p.53) ・相当な富豪であるらしい(p.54)…カナダの大手製薬会社、フィルファーマの共同経営者の一人(p.72) 檜沢千茅 ・栗色の髪をボブカットにしている(p.61) ・17歳の高校生(p.86) 柊武雄 ・華奈子の上司。(p.75) ・伝染病の脅威を防ぐためにはなんでもやると評判の男。政治家としての力で名高い(p.75) 檜沢英継(あいざわひでつぐ) ・千茅の父。40歳(p.86) ・プーロソッル島でディジーズPに感染し、現地で死亡(p.117) 檜沢光穂(あいざわみつほ) ・千茅の母。39歳(p.86) ・プーロソッル島でディジーズPに感染し、現地で死亡(p.117) ジョプ ・背は低いががっしりとした黒人(p.89) ・腕にもふくらはぎにも鉄のような筋肉が盛り上がっている(p.89) ・顔立ちは原始的で荒々しい(p.89) ・額がせり出し、花は低くつぶれ、唇が太い(p.89) ・髪はくしゃくしゃの縮れ毛(p.89) ・ニューギニア島の出身(西イリアン高地人)。(p.110) 用語・情報 謎の疫病 ・致死率は95%を超える(p.100) ・到着したアメリカ海兵隊員がディジーズP(疫病P)と名づけた(p.111) ・発生したプーロソッル島のPと、患者を診ていると勃起してしまうペニスのPを掛けた名前(p.111) ・ウイルス性疾患である(p.112) ・潜伏期間は一週間(p.122) ・回復者の体内に残留するウイルスは感染能を失わず、回復者は保菌者であり続ける(p.127) 第二章 冥王斑 人は自分が「きれい」だと信じる行為しかしないが、「何がきれいか」を確認しないし、他人から確認されることも嫌がる。 偏執的な潔癖症である星川未沙との逢瀬ののち、圭吾はベッドの中でそんなことを考えていた。 翌日、特定患者病棟に移った千茅を華奈子とともに見舞う圭吾。表面上は全快した千茅だが、ウイルスは千茅の体に残ったままであり、彼女の隔離は続いていた。同じく隔離病棟を訪れていた柊の指示で、児玉は柊と共にアメリカの感染症学会へ、華奈子はジョプとともにディジーズPのルーツを探るためニューギニアへ向かうこととなる。 学会の会場で出会ったフェオドールと共にセッションを受ける圭吾。ディジーズP の研究は多少の進展を見せていた。そして圭吾は、学会での柊の言動と、最終日に発表された「ニューヘブン声明」の内容に不穏なものを感じる。 一方、ジョプや弥彦と共にディジーズPの自然宿主を探してニハイ村にたどり着いた華奈子は、ジョプが殺したクトコトの死骸を発見する。ニハイ村を焼き払おうとするインドネシア軍将校ダンカルロンガとジョプの争いに巻き込まれ、弥彦は不運にもウイルスを吸い込んでしまった。 病棟で過ごす千茅のもとには、なぜか仲良くも無い少女紀ノ川青葉がたびたび訪れていた。ある日のやりとりをきっかけに、腹を割った会話を重ねるようになっていく二人。千茅は青葉や圭伍との交流を通じて、自分がこれまで何も知らなかったことに気づいていく。 登場人物 フェオドール ・プーロソッル島での一件以来、感染症にも興味を持つようになった。 柊武雄 ・ニューヘブン宣言の発表にあたって、根回しに尽力したと思われる。 ダンガルロンガ ・インドネシア陸軍の士官。(p.176) ・ブラザノと対立してしまう。 ・半ダース程の兵士を引き連れている。 ・部下とともにニハイ村を焼き払う(p.200) ブラザノ ・第1章にも登場した、WHO西太平洋事務局のメディカル・オフィサーを務める医師。フィリピン人。(p.70,176) ・ダンガルロンガと対立してしまう。 ジョプ ・快適からは程遠い防護服を着ているわりに、普段はおとなしい ・半年の軟禁生活を経てなお肉体はたくましさを保っている (p.190) ・ニハイ村が近づいたことを悟ると防護服を脱ぎ捨てる ・英語を聞き覚え、使い始める(p.191) ・一行の前で雄弁な一人芝居を披露 ・村を焼かれたことに激昂し、槍でダンガルロンガを襲う(p.203) 弥彦進也 ・華奈子に結婚を前提とした付き合いを申し込むが、保留にされてしまう(p.182~183) ・ダンガルロンガに襲い掛かったジョプを制止しようとするが、取っ組み合いになりマスクが外れてしまい、ディジーズPに感染(p.203~204) ・華奈子へのプロポーズを撤回する(p.205) 矢来華奈子 ・ダンガルロンガを襲うジョプを制止 ・プロポーズを撤回した弥彦に対し、感染覚悟で接吻する(p.206) 檜沢千茅 ・以前は、どこか自己中心的で世間を諦観しており、マイノリティを切り捨てるような価値観の持ち主だった ・隔離病棟を訪れる医師にセクハラを受けている(p.212) ・病気によって自分の立場が変化したために、以前の価値観と現状の板挟みになり、自殺を考えるほどに苦悩する ・青葉の訪問によってもたらされた何気ない会話に嬉しさがこみ上げ、号泣 紀ノ川青葉 ・千茅の中学生時代からの知り合い。同じ中学校、高校に通う(p.207-208) ・中学2年生の時に千茅と大喧嘩して以来、疎遠な関係であった(p.208) ・髪はぼさぼさで無造作にパレッタで留めている(p.220) ・可愛くも、りりしくも無い顔だち(p.220) ・友人の見舞いが途絶え始めた夏の始まり以来、二週間に一度千茅の元を訪れている(p.222) ・今の千茅に一人の人間として興味を持ち、好いている 用語・情報 千茅の病室 ・特定患者病棟は、新宿区戸山にある国立感染研究所に併設されている(p.140-141) ・千茅の病室には千羽鶴がある(p.149) ディジーズP ・正式名称は眼縁黒斑性全身性炎症熱となった(p.147) ・回復した患者の呼び名も無症状病原体保持者となった(p.147) ・感染経路は空気感染(p.147) ・感染後に大量に分泌される涙にウイルスが含まれており、これが乾燥し飛沫となったものを吸い込むと感染する(p.147) ・一類感染症にカテゴライズされた(p.148) ・回復後もウィルスが体内に残る(p.148) ・嗅覚の減退が感染のサイン(p.167) ・患者の目の周りに斑紋ができるのは、ウイルスが涙の流下量を増やそうと眼縁に集まって鬱血を起こすから(p.168) ジョプの近況 ・WHOのブラザノ隊にフィリピンに移らされた(p.158) ・日本の華奈子や千茅のことを気にしており、フィリピンのスタッフには非協力的(p.158) 華奈子と弥彦は付き合い始めた ニューへブン声明(p.170~171) ・世界感染症学会で発表されたディジーズPに関する声明 ・開催地であるアメリカ東北部の都市ニューへブンから名づけられる ・宣言内容は以下 ・ディジーズPが人類社会に極めて重大な打撃を与えうること ・ディジーズPの防疫が通常の手順では困難なこと ・専従の人員と予算、および必要な施設を持つ、常設の国家横断的な対策組織の設置が急務であること ジョプの兄グタンとその妻ゴチマは、ある者にそそのかされ何かを食べた。そこから感染が広がっていった(p.195-196) クトコト ・皮革と髭がある(p.199) ・子猫ほどの大きさ(p.199) ・六本足(p.199) 冥王斑 ・ディジーズPの新たな呼び名(p.229) ・英語ではプルート・スポット(Pluto Spot)(p.230) ・名称変更の理由は以下(p.230) ・ディジーズPのPがプルトニウムを連想させ好ましくないため ・アクランド医師の残した言葉から(p.113) ・患者は未知の成分を含むフェロモンを出す。(p.230) ・このフェロモンは他の人間を誘引し、生殖行動を誘発する(p.230) 断章二 ――オビス・ミュシモンからオビス・キュクロプス、そしてクラウドへ―― 第四準位活動体として地球の羊に展開されたノルルスカインは、その後もしばらく羊とともにあった。 被展開したのはムフロン種(オビス・ミュシモン)の羊であった。ノルルスカインの働きかけにより人間と共存しやすくなった群れは、その後オビス・キュクロプスと呼ばれるようになり、数を増やしていった。 やがて人類が一連の生物のゲノム解析を行うようになり、オビス・キュクロプスのDNAデータも解析され、ネットワーク上のサーバに保管される。 その後フェオドールがAIであるフェオドールダッシュでこのDNAデータをロードした際にノルルスカインもロードされる。 これにより第三準位活動体となったノルルスカインはフェオドール・ダッシュを乗っ取り、さらに地球のネットワーク全体へと広がっていく。 用語・情報 ノルルスカインがダダーと名乗るきっかけ ・植民地時代のオーストラリアにいた偽薬売り(ダダー)が、羊(オビス・キュクロプス)を獣姦していたことが、自分自身の繁殖方法に似ていたため。(p.237) 第四準位活動体 ・外部のことを知ることもできなければ、それを見聞して記録することもできない状態(p.234) ・不自由な第四準位活動体でも宿主を操作する程度のことはできる(p.234-235) 第三章 ネクター ディジーズPは冥王斑と名付けられ、世界的に対策が進みはじめた。日本でも回復者の増加に対応するため、全国に6箇所の隔離施設が用意される。千茅やジョプも、秩父の施設へ収容された。 冥王斑ウイルスに対するワクチンの精製には冥王斑回復者の血液が必要であった。不本意ながら千茅たちに向けて献血を依頼する圭吾。 板ばさみとなった圭吾の気持ちを考え、千茅は積極的に献血に参加することを合宿所の面々の前で伝える。 一方、京都大学霊長類研究所ではクトコトの解剖調査が進んでいた。大学の研究員から、宇宙から来た生物である可能性があると聞くフェオドール。 千茅のもとには、大学生になっても変わらず青葉が通ってきていた。そして、だんだんと圭吾の飾らない人柄に惹かれていく千茅。 この頃、患者の取り扱いの向上を目指す世界冥王斑患者群連絡会議(Pluto spot Practice Liaison=PPL)が設立される。日本支部にあたるJPPLの支部長には第1号回復者である千茅が就任した。 登場人物 曽根 ・合宿所メンバーの一人。 ・マンションやオフィスビルを経営していた。67歳(p.281) ・和歌山県に山を一つ持っている(p.302) 千茅 ・高校を中退した。18歳(p.281) ジョプ ・まだ言葉があまり通じない。 ・真面目そうでいながら独特のユーモアのセンスを持つ(p.281、284) 瀬戸口 ・合宿所メンバーの一人。 ・刺繍が得意な中年夫人(p.280)。 ・心配性でおしゃべり(p.281) ・元主婦(p.302) ・三珠の子供を宿すが、ストレスが元で死産(p.303、305) 三珠 ・合宿所メンバーの一人。 ・鉄工所をやっていた(p.302) ・瀬戸口と結婚する(p.303) 永淵 ・合宿所メンバーの一人。 ・幼い子供を病気で亡くした(p.304) 用語・情報 冥王斑回復者むけの隔離施設は合宿所と呼ばれる(p.246) IgP ・冥王斑回復者の血液から見つかった新しいタイプの免疫グロブリン(p.249) ・感染者の体内で生産され、これが患者を回復に持っていく(p.249) ・プルートスポットからIgPと名づけられる(p.249) クトコト ・ニハイ村で華奈子が見つけたクトコトの死体は、その後各国の研究機関へ送られた(p.268) ・日本の京都大学霊長類研究所にも標本が一体ある(p.268) ・前方双眼で5本指に扁爪がある(p.269) ・薄茶色の毛皮(p.269) ・前足と後ろ足の間、腹の左右に一対の四肢がある(p.269) 他の四本と異なりほぼ真横に伸びている。 ・鼻の先にゴリゴリとした木の実のような塊がある(p.270) これはワニなどの水生生物にも見られる外鼻弁。 ・被子を分泌するための腺が全くない(p.270) ・耳が小さいわりに耳骨が異様に発達している(p.270) ・尾が扁平して左右に動く仕組み(p.270) ・卵生で卵はピンポン玉くらいの黒い球体(p.270) ・卵の殻はカーボン繊維で、ハンマーで叩いても割れない(p.271) ・卵の中は直径の半分ほどの分厚い断熱材に詰まっている(p.271) ・幼生が殻から出るには、千度以上の高熱で殻を焼尽してもらわないと出られない(p.271) ・クトコトは人間の遺伝子を多く含んでおり、特に免疫に関する遺伝子が人間のそれと大変よく一致している(p.273) 冥王斑ウイルス ・ニハイ族とクトコトの間で感染サイクルを形成し続け、最近になって強毒化した(p.274) IgP用の供血 ・血漿成分のみの供血(p.278) ・残り(血球を主とする成分)は体内に戻す(p.278) PPL(p.285) ・プルートスポット・プラクティス・リエゾン(冥王斑患者群連絡会議)の略。 ・合宿所にきた千茅が始めた活動。 ・インターネットのSNSを使い、日本全国の患者を結んだ ・隔離患者の生活や病気の研究の進展など、情報共有を進めている ・海外でも似たような組織ができており、それらとも連携し始めた 冥王斑ワクチン ・IgPとアジュバントという免疫増強剤を組み合わせたワクチン(p.290) ・感染初期に摂取すると助かる場合がある(p.290) JPPL ・13カ国4600名の回復者からなる世界冥王斑患者群連絡会議が設立された(p.299) ・国によって大きく異なる患者群の取り扱いの、向上を目指した活動(p.299) ・千茅が始めたPPLは同会議の日本支部(JPPL)となり、千茅が支部長となった(p.299) 冥王斑と妊娠 ・妊婦が冥王斑に感染した場合、これまで全例が死産であった(p.303) ・冥王斑回復者同士の子供からも名王斑ウィルスとIgP成分が見つかった(p.305) 千茅をめぐる各々の情動 ・圭吾は千茅を慈愛と抑制を込めて見る。 ・掛井は冗談めかしつつ時に真剣に見る(p.306) ・ジョプは千茅のために苦しみたいと思い、千茅は圭吾のために苦痛を受けたいと望んだ(p.307-308) 第四章 エンクロージャー 世界中で冥王斑が猛威を振るう中、ついに東京でもアウトブレイクが発生してしまう。治療に忙殺される圭吾。 青葉から結婚することを聞いた千茅は、青葉のためを思って彼女との決別を決意する。今やたった一人の親友となった青葉を、心にもない暴言で突き放す千茅。だが、青葉はそんな千茅の胸中を見抜いていた。優しい言葉を残して千茅のもとを去る青葉。残された千茅は、ジョプに見守られながら激しく嗚咽した。 そんな中、突如合宿所で火災が発生する。看護士の掛井に助けられ脱出した千茅だが、ずっと千茅に向けて歪んだ恋慕を募らせていた掛井から性的暴行を受けてしまう。深い絶望に身を堕とした千茅は、ジョプと共に掛井を脅迫し、車で合宿所を脱走する。 世界中で続くアウトブレイク。増え続ける回復者の処遇を安定させるため、ニューへブン声明に従い、ついに世界中の冥王斑回復者はコスタリカが提供したココ島に集められることとなる。 そうした世情をよそに、千茅とジョプは逃走を続け、和歌山県の山中に潜伏していた。圭吾はわずかな情報を頼りに、密かに二人のもとを訪れる。しかし、それを追跡していた柊の手勢が、二人の身柄を確保。圭吾の思いとは裏腹に、二人はココ島へと強制送還されてしまう。 ココ島に降り立った千茅とジョプ。千茅たちは、そこで出会ったメキシコ人のクルメーロら各国の冥王斑回復者と共に、いつの日か自分たちを排斥した世間を見返すため、苛酷な暮らしの中で虎視眈々と牙を研ぎながら生き抜く決意を固めるのだった。 登場人物 クルメーロ ・紅茶色の長い癖毛(p.419) ・やつれた感じがどこか圭吾に似ている(p.419) ・無遠慮だが不快ではない眼差し(p.424) ・おそろしく訛った、何とかわかる程度の英語を話す(p.424) ・メキシコ・シティーにいたころはひとかどの人物だった(p.426) 用語・情報 冥王斑ウィルス ・アウトブレイクするたびに新たな亜種が発生する(p.385) ・どの亜種もIgPに対する抗原性をもつため、IgPワクチンはの有効性は保たれた(p.385) ココ島 ・別名リゾートC(p.417) ・感染者をココ島に追いやる動きには圭吾も加わった(p.388) ・26カ国1万4千人の回復者がいる(p.421) ・コスタリカの担当官庁が不正を働いているため、まともな監督機関も医療施設もない(p.421) ・食料は量こそ足りているものの、分配がずさんで国別の仕分けもろくに行われていない(p.421) ・住まいや洗濯場などの場所取りはほとんど弱肉強食(p.421) ・日本人キャンプのあたりではメキシコの患者群が数にものを言わせて圧迫している(p.421) メキシコにはPPLがない(p.424) 終章 飛行機で移動中の圭吾と華奈子。 フェオドール・ダッシュから華奈子に一通のメールが届く。 その内容は、オリジナルのフェオドールが冥王斑にかかり死亡したことを伝えるもので、リゾートCでの千茅たちの近況連絡でもあった。 以後、フェオドール・ダッシュは華奈子と行動を共にすることとなる。 「圭ちゃん、実はフェオがね」 用語・情報 フェオドールのビデオレター ・冥王斑は地球外の何者かが仕掛けた大掛りな"いたずら"であると、フェオドール・ダッシュは華奈子とその他数人に伝えた(p.433) リエゾン・ドクター ・日本特定患者群連絡医師団のこと(p.437) ・最後の『連絡医師団』の部分を呼称に使っている。 ・冥王斑対策委員会の下部機関として日本政府が設立した(p.437) ・リゾートCに住む日本人冥王斑回復者の状況の把握や改善に努めることが役目(p.437) ・華奈子と圭吾もリエゾン・ドクターとなる(p.437、446) 救世群(プラクティス) ・リゾートCの冥王斑回復者が自分達のことを自称した(p.438) ・もともと『患者群』を意味する英単語practiceだが、これに別の意味『救世群』をもたせた(p.438) ・由来はIgPワクチンで世界を救う人の集まりであること(p.438) ・評議会をつくり千茅が元首となった(p.438) 登場人物まとめ 日本 国立感染症研究所 児玉圭伍 矢来華奈子 柊武雄 掛井 国際協力機構(JICA) 弥彦進也 外務省 狭雲 その他 星川未沙 檜沢英継 檜沢光穂 紀ノ川青葉 紀ノ川幹子 冥王斑患者群連絡会議 檜沢千茅 ジョプ 三珠 瀬戸口 曽根 永渕 クルメーロ パラオ ムサウ ランゲス カナダ フェオドール・フィルマン セレスタン・フィルマン フィリピン ブラザノ アメリカ疾病予防管理センター(CDC) エバンス アクランド インドネシア ダンカルロンガ ニハイ村 グタン ゴチマ 地名まとめ ニハイ村 エクチコラ山 プーロソッル島 ココ島 タイムライン 日 付 で き ご と 2015/03/16 華奈子が圭吾を呼び出す 2015/03/17 プーロッソル島に到着 フェオドールと会う 千茅を見つける WHO到着 米CDC到着 2015/03/18 千茅解熱 2015/03/19 フェオと会話 アクランド医師誤穿刺 2015/03/21 千茅覚醒 医師の日記発見 2015/夏 特定患者病棟に千茅を見舞う ニューへブンで臨時総会 ニューへブン声明発表 2015/秋 エクチコラ山でクトコトの死骸発見 ニハイ村焼却 弥彦感染、死亡 青葉来院 2016/春 秩父合宿所で花見 フェオドールデート 京都大学霊長類研究所訪問 PPL開始 2016/夏 千茅嫉妬 2016/秋 世界冥王斑患者群連絡会議設立 千茅JPPL支部長 2017/01/ 瀬戸口妊娠 2017/02/ 瀬戸口流産 2017/春 東京アウトブレイク フェオドール合体 2017/05/ 青葉暴露 2017/06/ 千茅告別 告白 火事 脱走 2018/02/ JPPL、ココ島へ移動 2018/春 千茅保護 千茅、ココ島へ到着 クルメーロと出会う フェオドールオリジン死亡 小ネタ 用語の意味・由来まとめ ミスチフ ・英語でいたずらっ子という意味。"mischief"。 章タイトル ○3章タイトル「ネクター」 ・果実飲料。不○家のがおいしいやつ。 ・ギリシャ神話にでてくる神々の飲み物。飲むと不老不死になれるという。 →ここでは後者が隠喩として使われており、冥王斑ワクチンないしその原料となる冥王斑回復者の血液を指しているのではないか。 ○4章「エンクロージャー」 ・英単語"enclosure"から。「囲いをする」という語義の通り、冥王斑患者の隔離を指すものと思われる。 ・対義語"disclosure"が「開示/暴露」と訳されるように、「秘匿する/外に出さない」といったニュアンスも含む。 ・転じて、16世紀、18世紀にイギリスで行われた囲い込み運動のことも指す。※領主層が利権確保のため、従来開放耕地制度(個人の農地を厳密に設けず、耕圃単位で共同耕作を行う制度)の下にあった土地を私有地化し、一部の農民を追い出した。 →ここでは、冥王斑回復者を社会から隔離すること、その上でワクチン製造への協力を強いることに対して暗喩的に用いられている? 7つの勢力 その他 ニューギニア高地人の人肉食 ・かつては実際に弔いの儀式として死者の人肉を食べる習慣があった。1950年代にオーストラリア政府に禁止されたため、現在では行われていない。 ココ島 ・終盤で冥王斑回復者たちが収容される島。コスタリカ本土から南西500km、太平洋上に浮かぶ孤島である。 ・ココ島は現在ココス・アイランド国立公園として国立公園に指定されており、1997年には世界自然遺産にも登録されている。鬱蒼とした熱帯雨林にすっぽりと覆われたこの無人島は、面積46.6㎢(練馬区とほぼ同じ)、年間降水量7,000mm(東京都の約5倍)にも達し、『ジュラシック・パーク』の舞台であるイスラ・ソルナ島及びイスラ・ヌブラル島のモデルとして有名である。こんなところに碌な設備もなくぶち込まれた日には…… 終章で、フェオドールは「冥王斑は、地球外の何者かが仕掛けた大掛りな"いたずら"」であると発言 ・このビデオレターは、華奈子を含むフェオドールの各国の知己に当てて一斉送信されたもの。英語と見てまず間違いない。 ・「いたずら」は英語で"mischief"であり、図らずも、フェオドールが冥王斑の元凶であるミスチフの名を言い当てていたことになる。 謎・フラグ・リンク ※後の展開の内容を含みます。ネタバレ注意!! フェオドール・ダッシュのアバターが「タイヤを何段も積み重ねたような奇妙な形の、岩石のゴーレム」である(p.94) + ... →Ⅲ巻以降登場するロボット「フェオドール」のデザインの由来。 華奈子があげた水のペットボトルを、水がなくなった後もジョプは大事にしている(p.109) + ... →のちに、《救世群》の始祖言行録で語られる「水の給い手カナコ」の由来。華奈子自身の存在が伝承として残っているだけでなく、水を酌む道具の名として《救世群》の文化に根付いていくこととなる。 あらさがし コスタリカ共和国のココ島の位置 ・コスタリカ本土から南東500キロのところにあると記載されている(p.386)が、南東ではなく南西。 コメント欄 名前 コメント
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━━西暦2803年、植民地メニー・メニー・シープ。人類の運命を辿る、壮大な物語の幕が開く。 天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA) 目次 あらすじ ストーリー第一章 マーブル(石模様)の怪物登場人物 用語・情報 第二章 警邏艦の襲撃登場人物 用語・情報 第三章 恋人たち登場人物 用語・情報 第四章 衝突登場人物 用語・情報 第五章 昏き過去より登場人物 用語・情報 登場人物まとめセナーセー市民 《海の一統(アンチョークス)》 臨時総督府臨時総督周辺 植民地議会 軍事警察 《石工》 植民地市民 《恋人たち》 羊飼い その他 地名まとめ 謎・伏線・リンク・小ネタ第一章 第二章 第三章 第四章 第五章 あらさがし コメント欄 あらすじ 西暦2803年、惑星ハーブC。地球人類の植民星メニー・メニー・シープは、入植300周年を迎えようとしていた。 しかし、祝賀の機運はない。植民地の最高権力者たる臨時総督ユレイン三世が、植民地全体に配電制限を強め、民衆の生活を圧迫していたのだ。 そんな中、海沿いの街セナーセーの町医者カドムは、一匹の怪物と出会う。この邂逅を機に、人類の運命は再び動き出す—。 ストーリー 第一章 マーブル(石模様)の怪物 セナーセー市の医師セアキ・カドムは、謎の疫病が発生したとの知らせを受け、現地に赴く。夜を徹して治療と分析にあたる中で、彼が突き止めた感染源。それは、彼の幼馴染アクリラ・アウレーリアが率いる《海の一統》が時を同じくして捕まえた、ヒトに似た褐色の怪物の体液であった。 一方、カドムのロボットフェオドールは、拡散時代からセアキ家に伝わる冥王斑治療薬を探し出す。カドムはこの治療薬を使い、疫病騒ぎを終息させた。 その後、イサリと名乗る件の怪物の処遇が議論されはじめる。市民のほとんどが怪物への敵意を持つ中、カドムはただ一人イサリと心を通わせる。そして、ある出来事をきっかけに住民たちのイサリへの敵意が和らいだため、アクリラの父キャスランの許しを得て、イサリはアウレーリア邸で保護されることになった。 一方、代官から事情を聞き出したメラーズら臨時総督府の高官たちは、イサリを《咀嚼者》と呼び、彼女の捕縛を命じるのだった。 登場人物 セアキ・カドム(p.7) ・30歳手前の男性 ・黒い髪、黒い瞳 ・顔は面長で黄色く東洋系 ・猫背。肥っていないが引き締まってもいない ・両親の名はタキオとサリエ。コレラ禍で幼い頃に父を亡くした ・首都で学び診療所を継いだ アクリラ・アウレーリア(p.8) ・《海の一統(アンチョークス)》宗家の跡取り息子 ・腕も腰も細くて肉付きが薄いが、痩せているというよりは引き締まっている。足は白くて長く、爪は形がよく桜色 ・頭部は小さくきれいな逆さの卵型。紗のようにきらめく金髪で腰までの長さ ・瞳は深緑、長いまつげ。眉はすっきりと細い。銀のピアスをつけている オシアン ・《海の一統(アンチョークス)》の一人 ・アクリラと歳の近い、部下であり友人でもある少年。カドムとも知り合い(p.18) ・牧羊炎に罹患している ネレイド ・《海の一統(アンチョークス)》の医師 ・オシアンの診断にあたり、カドムと対立した フェオドール ・石像のロボット ・笠型の石を5,6個重ねたような、人の背丈を越えた塔のような姿 ・丸石がいくつも連なった数珠のような形状の腕を持つ キャスラン・アウレーリア(p.63) ・アクリラの父 ・第七代キャプテン。 ・銀髪を長く伸ばし、穏やかで女性的な物腰 アンドリュー・メラーズ ・臨時総督首席補佐官を務める老人 ・美髯をたくわえた威厳ある風体 ・若年の臨時総督を補佐し、植民地の行政を一手に取り仕切る権力者。摂政といったところか ライサ・ザリーチェ ・軍事警察総監の女性 ・どうやら色気がものすごい様子 ユレイン・クリューゲル三世 ・第21代植民地臨時総督=領主(レクター) ・先代からの指名により、18歳にもならないうちに臨時総督に就任 ・線の細い顔立ち。神経質そうに見える ダレク・イージーヴィ ・30代後半らしき士官。階級は大佐 ・引き締まった顔立ちをした胸板の厚い美男子 ・目つきが険しく、動作はせかせかしている イサリ ・二足二腕の人間型。身の丈は2メートルを超えていて、カンガルーのような太くて長い尾がある。全身に金銀細工の装飾物をぶら下げており、体は白と褐色の混ざった渦巻き模様の甲冑を纏っているかのよう(p.50,54) ・硬い鱗と甲皮におおわれ、前腕には鈎がある。目は琥珀色(p.53) ・連珠状の鱗が髪のように腰まで伸びている。肩、腕、腹を金銀細工の装飾物が覆っている(p.54) ・血中には冥王斑ウイルスが存在 ・再生能力がある(p.64) 用語・情報 《海の一統(アンチョークス)》(p.10) ・常人より長命 ・陽気で勇敢で刹那的な船乗りたち ・セナーセー市を築き、間断なくやってくる移民たちを治めている一族 ・戦士にして漁師である2000人 ・町の人々は軍警よりも《海の一統(アンチョークス)》を頼ることが多い ・遥か昔に自らの肉体を改造した人たちの末裔 ・体内に多量の電気を溜め、その電気で二酸化炭素を分解するので酸素呼吸を必要としない ・小型の電磁誘導砲、コイルガンを操る セナーセー市 ・メニー・メニー・シープの東端に位置(p.13) ・町と港を守るように長い半島があり、(p.18) 北の顎と呼ばれている ・陸繋島であり、西側の砂州で本土と繋がっている(p.18) ・セナーセー市を開いたのは270年前のオラニエ・アウレーリア艦長。(p.18)西暦2533年 ・人口は首都オリゲネスに次ぐ8万人(p.18) ・漁業が盛んで、陸岸では林業もおこなわれている(p.18) ・中央には蒸散塔があり、ぽつぽつと風車もある(p.18) ・北の顎は南北にのびる細長い砂州(p.20) ・マルクト地区…カドムの生まれた地区(p.25) 町の中心に位置する(p.26) ・エシェカ地区…港に面しており、立て込んでいる。冥王斑が発生した地区(p.27) ・p.107 植民地(メニー・メニー・シープ) ・町の一部を東から西へ順番に示すと、(p.13) セナーセー、ヨール、ホリンズヘッド、オリゲネス、ニュークァール、ナガサキ。ナガサキは植民地の西端。 ・今年(2803年)は開闢300周年(p.13) ・植民地の総人口は200万人(p.14) ・現領主は第21代のユレイン・クリューゲル三世(p.14) ・植民地が開かれたのは西暦2503年(p.15) ・ヨール市はセナーセー市の北にある(p.35) シェパード号 ・首都の地下に埋もれている、かつての恒星間大型植民宇宙船。人類を惑星ハーブCへ運んできた(p.15) ・シェパード号には巨大発電炉があり、植民地中に電気を供給している(p.15) ハーブC ・メニー・メニー・シープが位置する惑星 ・化石燃料が存在せず、金属資源も少ない(p.15) 航海長(チョッサー) ・《海の一統(アンチョークス)》宗主の跡取りに対する公式な敬称 ・チョッサーは略称で、正式にはチーフ・オフィサー 牧羊炎 ・内耳の蝸牛が激しい炎症を起こす病気 ・平衡感覚を失い、わずかな振動でも痛みと感じる ・羊飼い、あるいは羊のそばで半年以上暮らした人間がかかる…羊の「電波」を受けるから 先導工兵(パイオニア)(p.30) ・領主の所有する多目的ロボット。 ・背丈は一軒の軒を越えるほど。 ・角ばっていて色は白い。 ・両肩に工作アタッチメントをずらりと背負っている。 オリゲネス市(p.66) ・メニー・メニー・シープの首都。 ・セナーセーから北西に40キロ離れている。 ・北の海と南の広大な畑地に挟まれており、温暖で繁華。 ・町の中央を流れるストリング川沿いに発展している。 ・人口は40万人。 ・地理的に諸都市のほぼ中央に位置している ・海を背にして岩山があり、周りには何重もの囲郭がある。 ・一番内側の囲郭には岩山と同じ高さの塔があり、最上階は展望台のようなものがある。 ・囲郭内部がフォートピークと呼ばれる植民地臨時総督府。 領主(レクター) ・正式名称は植民地臨時総督。 ・世襲に近い形で継代指名されてきた。 ・シェパード号の維持管理を名目とした地位。 ・シェパード号の発電炉を掌握している。ユレイン三世は近頃、各都市への配電を制限し始めた。 ・気象制御も行っている。 ・行政府である臨時総督府、治安維持機関である軍事警察を従える。 代官(フォークト) ・領主の地方代理人。 ・現在セナーセーの代官を務めるのはナウム・ブロトー 拡散時代(バルサム・エイジ) ・人類が恒星間宇宙船を建造していた時代。すなわち、かつて人類が高度な技術を有していた時代という意味合いの言葉である。 ・人類の恒星間航行は継続しているが、メニー・メニー・シープはそこから脱落している。 ・植民地では高度な技術の多くは失われており、レントゲン装置程度の機械までしか自作できない。 冥王斑 ・イサリの血と体液が感染源 ・患者は体をピンと伸ばし、何かを抱えるように腕を上へ伸ばした奇妙な姿勢をとる。また、顔の上半分には手形のような斑紋が発生する。完治すると斑紋は消える。 第二章 警邏艦の襲撃 イサリの気分転換のために向かった草原で、カドムは羊飼い達に出会う。羊飼いのポントはイサリのことをプラクティスと呼び、恐れた。 古い記録によるとイサリは《咀嚼者》(フェロシアン)と呼ばれる生き物であった。《咀嚼者》を捕縛するため、臨時総督府は警邏艦隊をセナーセーに向かわせる。 警邏艦で派遣されたのはハーブCの原生生物である石工(メイスン)の部隊であった。石工は謎の存在ダダーとの契約のもと、臨時政府に奉仕していた。 常日頃からユレイン三世を快く思わないセナーセー市民が抵抗する中、イサリは市民の奮戦をよそに自ら艦隊のもとへ赴いてしまう。イサリを捕縛した警邏艦隊は、首都オリゲネスへと引き返していった。 臨時政府の苛政に対抗するため、キャスランは10年前から暖めていた禁足境界を破って前人未到の新天地を調査する計画を実行に移す。 息子アクリラ率いる調査隊にカドムを誘うキャスランだが、他にやることがあると断るカドム。それは、ユレイン三世の野望を暴くカンブレン医師の運動に協力することであった。ユレインはシェパード号を復活させ、植民地を放棄して宇宙へ逃れようとしているというのである。 そうしている間にも、ユレイン三世の配電制限は日増しに厳しさを増していく。民衆の生活は限界に達しつつあった。 登場人物 エランカ・キドゥルー ・南アジアの列島地帯に栄えていた古い民族の血を引く女。 ・なめらかで潤んだような波打つ黒髪とココア色のきめ細かい肌をもつ。 ・まだ若い。 ・首都の大学で地球史を修め、臨時総督府編纂局で一時働いたのち、政治家の道を選んだ。 ・植民地議会サンドラ派に属する議員であり、初当選から2年を経ている。 ・正義感が強く、議員同士の馴れ合いに嫌気がさしている。 ジャレド・ノヴォストロイゲ ・植民地議会議長。エランカの伯父。 ・柔和な目をした大きな体の男。 ・面倒見の良い善良な人物で、人望もある。 セアキ・カドム ・フロックコートを万年一張羅にしている。 オシアン ・冒頭でカドムに牧羊炎を治療してもらって以降、カドムのシンパになった。 クレヴ ・後頂角は幅のあるひれのようになっている。 カヨ ・拡散時代以前からアウレーリア家に使える年代物のロボットメイド。 ・カチューシャとお仕着せの黒いエプロンドレス姿で、一応は女性的。 ・言葉や仕草はぎこちなく、顔面は卵のようなのっぺらぼう。 フェオドール ・腕は5本出せる。 用語・情報 先導工兵(パイオニア) ・背丈は2メートル半ある ハーブC入植 ・シェパード号が到着したのは26世紀になって数年以内で、投薬冬眠技術と365段の核融合ブースターを用いて50年以上かけてハーブにやってきた(p.80) ・ハーブは恒星Har-βから。ハーブ星系の第三惑星なのでハーブC(p.81) ・当初の計画では、植民地は地球と同等の文明水準に達し、銀河系に存在する数多くの植民星からなる惑星連合に加盟するはずだった。 シェパード号事故 ・シェパード号は分解して地表に下ろす予定だったが、事故のため分解されないまま大気圏に突入し、首都の丘にめり込んだ(p.81) ・事故の詳細は不明。コンピューターの暴走、知能化動物の反乱、宇宙生物の攻撃、内紛、等の説がある(p.81) ・事故により多くの人間が死に、貴重なハードウェアとソフトウェアが失われた(p.81) ・事故の後に残った人間は二万人(p.82) ・シェパード号が墜落したため、フォートピークには巨大なV字谷がある(p.81) 移民初期 ・無名の女性サンドラ・クロッソが政治家として頭角を現し、和解を促進、初期政府を樹立する。 ・初期政府の主要メンバーは、政治家のサンドラ・クロッソ、政治家のハン、宇宙士官のアウレーリア、建築家のラゴス、医師のセアキ、ダダー。(p.82) ・墜落時に統制機構が損傷したため、ロボットは甲板長(ボースン)だけに忠誠をしめした(p.82) ・甲板長(ボースン)のユレインにロボットを指揮させた(p.83) ・ハーブCには4種の致死的微生物が見つかったため、全員が肉体改造をした(p.83) ・シェパード号の最大出力は5200万キロワット(p.83) (ちなみに国内最大は、新潟県中越沖地震前の柏崎刈羽発電所の821万キロワット。) ・地球より紫外線が強いため、水蒸気を放つ蒸散塔を立てた(p.83) ・初代甲板長(ボースン)は十数年後に死亡した(p.83) サンドラ・クロッソも死んだ ・石工(メイスン)として知られる原住知的生物が見つかり、友好の契約が結ばれた(p.83) ・惑星連合との通信が回復するころ、甲板長が独自の動きを開始 臨時総督府樹立 ・4代目甲板長のダーナと議員オラニエ・アウレーリアが争い、ダーナが勝利。(p.84) ・オラニエはシェパード号に乗る前は宇宙戦艦の艦長を務めていた。(p.84) ・裏切り者が出たためオラニエは破れ、首都を去りセナーセーを築く(p.84) ・このころに有力地方都市がいくつか築かれた(p.84) ・ダーナは恒星間通信を再開し惑星連合から臨時総督就任の許可をもらった(p.84) ・再編集事業を開始し、歴史を再編し地理や博物の知識を独占した(p.85) ・ダーナはメニー・メニー・シープの周囲の海と陸に長い禁足領界を設け先導工兵を配備して封鎖した(p.85) ・これはシェパード号到着30年後のこと。現在は11の都市と多くの村がある(p.85) セナーセー ・湾を挟んで向かい側、大セナーセー湾の南に、南の顎がある(p.86) 蒸散塔 ・高さ数千メートル、基部の太さが10メートル。一定間隔で植民地中にある(p.91) ・古代ギリシャの柱のような意匠。 羊飼い ・羊に関する産業を一手に握っているが、これは植民地議会から与えられた正式な権利(p.94 ・定住しないため一般市民との交流は希薄 ・サンディバラのポントはイサリを、古い《プラクティス》、と呼ぶ(p.96) ・《プラクティス》とは、「大きな体、琥珀の瞳、鋭い腕、絡む血をもつ」者で、羊飼いの間で危険な存在として言い伝えられてきた(p.97) 航空警邏艦 ・紡錘形の船体 ・前方に複眼のような防弾窓 ・背面には球形の真空嚢がびっしりと並ぶ。これで浮力を発生させている ユレイン三世による制限(p.106) ・電力供給量の削減。(配電制限) ・各種資源、原料、製品の生産と売買を禁止。輸送路を封鎖して取引制限を行なっている。 ・窒素の強制買い上げと窒素製造機の徴発。(窒素統制) ・植民地の外縁に禁足境界を設け、脱走を禁じている。 石工(メイスン)(p.108) ・真珠色の甲皮におおわれた小柄な生き物。 ・二足歩行をしているが、猫背気味の体は人間の胸くらいまでの高さ。 ・背中には退化した羽を思わせる小さな鞘翅をたらしている。 ・足は猫足で、浮いたかかとから長いつま先が伸びている。 ・足と剛毛に覆われた細く短い尾の三点で体を支えて直立している。 ・昔からハーブCに住んでいる。 ・録音を早回ししたような甲高い声。もともと発声器官がない。 ・流線型に突き出した鼻づらに青い燐光をたたえる硬質の双眼がある。目は複眼。 ・なめらかな鼻梁から頭の後ろに向かって三本の角が伸びている。右顳角、左顳角、後頂角。 ・匂いや肌擦れの音で形成される共意識をもつ。 モルフィン銃 ・高圧のモルヒネ水溶液を発射する銃。石工の主兵装。被弾した人間はモルヒネの過剰摂取で人事不省に陥る。 メニー・メニー・シープ(p.143) ・東西およそ70キロメートル、南北およそ40キロメートル。 ・沖に出れるのは沖合い20キロメートルまで。その場合のトータル面積は5千平方キロメートル。 ・ハーブCの表面積は5億平方キロメートル。ハーブCは地球とほぼ同じ直径 ドロテア ・《海の一統(アンチョークス)》の今はなき持ち船。拡散時代の宇宙戦艦 ・いにしえのサー・アダムスがドロテアを捕まえた(p.144) ・ドロテアとは宇宙戦艦で拡散時代の初代アウレーリア家が所持していた(p.14) ・アウレーリア邸のタペストリーにドロテアが巨大な涙滴型の船として描かれている。(p.130、145) ・並外れたパワーを備え、犯罪者や不法勢力を追い詰めて砕いたため、クランチドロテア(破砕のドロテア)と呼ばれていた(p.145) 《海の一統(アンチョークス)》 ・全てドロテアの乗組員の子孫(p.145) ・酸素いらずの体質と、未知と冒険を求める気性を、遺伝として受け継いでいる。 ・混血が進んだためセナーセー市民は誰もが少しは《海の一統(アンチョークス)》の血をもつ(p.145) 母なる大地(テラ・マーテル)号(p.154) ・全長20メートルもない。 ・マストが二本、甲板中央と前方にある。 第三章 恋人たち 臨時総督府高官たちの立ち会いのもと、イサリの検分式が執り行われる。ヒステリックに処刑を命じるユレイン。彼はとてつもなく大きな秘密を抱えているようだが… 軍警に酷使されるクレヴたち石工は、イサリの検分式での失態から懲罰を受けていた。そんな中、単発鋼杭銃(フレシェットガン)を暴発させたコービーが、監督役からの虐待により命を落としてしまう。耐え忍ぶ石工たちの中に、自分でも理解できない衝動が渦巻き始めていた。 一方、叔父の勧めで植民地議会の議員となったエランカは、腐敗した政治を目の当たりにして義憤を募らせていた。そんなエランカのもとに、羊飼いからの嘆願が届く。議員の本分を果たそうと奔走する彼女だったが、とある事件に見舞われ、《恋人たち(ラバーズ)》という謎めいた一派の存在を知る。 その頃、エランカの仲介によりカドムは領主への謁見を果たしていた。領主(レクター)からシェパード号復活計画について聞き出そうとするカドムだったが、領主がイサリの処刑を命じたことを知って呆然とし、貴重な機会を棒にふってしまう。 カーリンドン地区を訪れ《恋人たち(ラバーズ)》のもとへ辿りついたエランカ。雄閣に招かれ採石作業について《恋人たち》の長ラゴスと意見を交わすが、春をひさぐという《恋人たち》の生業を知り、彼女は嫌悪感もあらわにその場を立ち去ってしまう。 一方、首都オリゲネスに来ていたカドムは、街角のカフェでノルルスカインという怪しい人物に出会う。 登場人物 ユレイン ・眉間が狭く、痩せている ザリーチェ ・髪は蜂蜜色 カランドラ・メーヌ ・ユレインが美貌に目をつけて城下から召し出した娘達 ・カランドラは年上、メーヌは小柄 エランカ ・伯父のノヴォストロイゲに利用されて当選した経緯から、政治の腐敗に問題意識を持つ クリプト・カンブレン ・ヨール市の外科医。名のある医師。 オーロラ ・《恋人たち(ラバーズ)》の一人。外見的には、十五、六くらいの見た目の可憐な少女 ・美しい紺色の髪 ベンクト ・《恋人たち(ラバーズ)》の少年。年齢は150歳くらい ラゴス ・荒削りの彫像のような精悍な顔立ちの男 ・背が高く肩幅が広い ・かすかに動物性の香料の匂いがする ・低音の心地よい声 ・濃い青の瞳 ・無造作に縛った荒縄のような後ろ髪 ・雄閤はラゴスの作品 。フォートピークや議会議事堂も同様。 ・何度かボディを替えている(p.240) ・義務感以外で性行為を行ったことは過去数度しかない。機械のラゴスには、絶頂の快感も子を為す喜びもない(p.240) ノルルスカイン ・茶色の巻き毛でちょっと洒落者めいた若い男という見た目(p.235) ・ウールの長袖セーターを着ている ・ダダーはシェパード号を墜落させた張本人だとも、シェパード号の人々を守ったとも言われる、人物あるいは機械だと言った(p.238) ・イサリがまだ殺されていないことを知っていたし、それをカドムが知りたがっていることも把握していた(p.239) ・皮膚は硬い金属の感触(p.239) ルッツとアッシュ ・コーヒーを飲んだことがなく、記録でしか知らない(p.234) ・ユレイン三世のことを領主と呼ぶ(p.235) ・ハーブCのことを惑星連合管理下の民主自治惑星と呼ぶ(p.235) ・顔と体が大きな男と、陰気そうな小男(p.236) 用語・情報 単発鋼杭銃(フレシェットガン) ・植民地の銃器の中で最も強力。長さ120cmの鋼杭を射出する ・空気圧縮式 シェパード号 ・フォートピークにはシェパード号に続く縦坑がある。差し渡しは100m を超え、超大容量の送電線が通っている ・シェパード号を実際に目にした人間は絶えて久しい 《咀嚼者》 ・シェパード号の到着以来、十数回出現したという記録がある(p.162) 甲板長は領内監視に航空機を使っている(p.174) 石工 ・体液のにおいは共意識を強烈に喚起する ・顳角には神経が集中している。人間で言えば眼球や性器のようなものであり、要は急所(p.177) 植民地議会について ・議員数は106人(p.180) ・議員選挙は、選挙区制と支持層制でおこなわれる(p.180) ・エランカはサンディバラ地区の選挙区制で立候補し当選した(p.180) ・現在の議長はエランカの伯父のノヴォストロイゲ(p.181) 首都郊外 ・サンディバラの隣にミッドゥンバラという山地の地域があり、ここでは領主のロボットが石を切り出している(p.190) ・サンディバラにもミッドゥンバラにも村長がいる(p.190) ・サンディバラは豊かな牧草地(p.191) ・ミッドゥンバラの採石を管理しているのは臨時総督府の資源庁(p.192) 《恋人たち(ラバーズ)》 ・現在カーリンドン地区に住むアンドロイドの一派 ・芸術家の一面を持っている ・回路的制限により人間に危害を加えることはできない ・正式な植民メンバーの一員としてシェパード号に乗ってきた(p.199) ・ボディーが老朽化したら新しいボディーを作って記憶を移す(p.199) ・数を増やしたいときにはコピーを作る(p.199) ・本来の呼称は《娼婦たち(プロスティトゥート)》 ・《恋人たち(ラバーズ)》は300人以上いる(p.222) カーリンドン地区 ・ストリング川の西側にある(p.206) ・オリゲネスはストリング川の東にある ・オリゲネスから架線式の路面電車が通っている(p.206) ・雄閤(ゆうかく)は中世の城のような建物。斜長岩と橄欖岩で造られている(p.208) ・雄閤はストリング川の中洲にある(p.209) ・雄閤はストリング川がクランク曲がりになったところにあり、川上からも川下からも見えない(p.219) ・雄閤に囲まれた中に雌宮がある ・雌宮(しきゅう)は大きな丸いドーム。バラ輝石の薄桃色 ハーブCと、地球や他の植民星との間は10光年以上離れている(p.236) 第四章 衝突 突如現れたベンクトとの交流を通して《恋人たち(ラバーズ)》への理解を改め、彼ら彼女らに惹かれていくエランカ。 一方、領主による配電制限はいっそう厳しくなっていき、ついに特権的配電先であった《恋人たち(ラバーズ)》の住むカーリンドン地区の配電も、制限案が議会で可決される。唯一の反対票はエランカのものであった。 配電制限に抵抗する《恋人たち(ラバーズ)》を掃討すべく、ザリーチェ将軍率いる軍事警察がカーリンドン地区を襲う。反発を続ける《恋人たち(ラバーズ)》と軍警との間で、遂に戦端が開かれるのだった。 戦いの過程で石工の一部隊を捕虜にしたベンクトは、部隊長のクレヴと出会う。リリーという新しい名前をくれたベンクトら《恋人たち(ラバーズ)》に、クレヴは興味をそそられる。 警邏艦隊を差し向け、カーリンドン地区への攻撃を本格化させる臨時総督府。激化する戦闘の中、ベンクトは《恋人たち》の誰一人行えなかった殺人という行為をやってのけるが、惜しくも相打ちになってしまう。 その直後、対峙するザリーチェら政府軍と恋人たち。クレヴは残った政府軍を助け出すが、ベンクトの決死の行為は彼女の胸に残っていた。 そして戦火の中、エランカとラゴスは再会する。 登場人物 エランカ ・喫煙者(p.248) ベンクト ・ベレー帽にダッフルコート姿 ・ヴァイオリン奏者で、作曲もする ・ラゴスの部分コピー(p.292) オーロラ ・天文画家 スキットル ・機械医師(p.258) ・髪を逆立てている(p.292) 用語・情報 メニー・メニー・シープ ・----首都と11の自治区がある(p.244) 21世紀までが地球時代、2300年代が太陽系時代、その後が拡散時代 《恋人たち(ラバーズ)》 ・電気と少量のレアメタルで生きている ・仕事をせずにはいられないよう設計されている カーリンドン ・南側と東側でその他地区に接している(p.265) 石工 ・前腕鈎がある(p.267) ・体脂肪をほとんど蓄えない体質。身軽に行動できる代償として一日5回食事が必要(p.275) ・フォートピークの地下にある湧き出でる座から十数体ずつ生まれ、高齢のメイスンに育てられる(p.277) ・成長するとダダーに忠誠を誓い、小隊を組む(p.277) ・獰猛なものから守ってもらう代わりにこの世界を守るという契約をダダーと結んでいる(p.277) 時は流れ、5年後の西暦2808年半ば(p.244、264) 植民地の技術では個人携帯用の無線機を作れない(p.268) 雄閤には工房と充電室がある(p.291) 西暦2808年6月14日に発生したカーリンドンの立てこもり事件から、メニー・メニー・シープの崩壊が幕をあける(p.265) 第五章 昏き過去より アクリラ率いる調査隊はセナーセー沖30キロメートルに未知の土地を発見する。接岸して調査を始めるアクリラたち。 内陸部には巨大な地溝帯があり、《重工兵(レジョネイア)》が作業をしていた。地下に続く横穴を発見し調査を進める。 横穴には見たことも無いロボットが徘徊しており、さらに進むと広大な空間に出た。そこでも見たことの無いロボットが作業をしている。 ロボットから逃げる一行は落とし穴に落ちてしまう。400キロメートル滑落した先でアクリラが見たものは、古のドロテアの姿であった。 登場人物 ドーフィ ・副長を務める。 小ジョージ ・若く短気な少年。 大ジョージ ・小ジョージの父。 シェーネ ・一行唯一の女性。 メイズ親方 ・鉱山オタク。 サレット ・対人戦闘ロボットの襲撃を受ける。 用語・情報 未知の土地への航海 ・セナーセーの南東沖合い30キロに陸地がある(p.314) ・セナーセーと陸地の間には常に濃い霧が発生する(p.310) ・セナーセーと陸地の間には常に風が吹いている。風向きは毎日時計回りに45度ずつ変わり、航海者が迷うようになっている(p.310) 未知の土地に上陸 ・陸地の海岸から3キロほど内陸に大規模な地溝がある(p.317) ・地溝は南北に伸び、幅は1キロメートル以上(p.317) ・東側の岸の上には、地溝に沿って壁が連なっている。(p.317) ・壁の高さは、地溝の底から200メートルほど(p.317) ・地溝の底の東側に《重工兵(レジョネイア)》が数百体いて作業をしている。(p.317) ・《重工兵(レジョネイア)》は人間の二十倍近い大きさ(p.317) ・地溝の底には低く広大な平屋があり、《重工兵(レジョネイア)》が出入りしている。製造と修繕が行われているらしい(p.317) ・地溝の東側の立ち上がり部分に横穴があり、地溝に沿っていくつも並んでいる(p.321) 横穴から地下深くへ ・横穴の10メートル程奥は、大きなファンで塞がれている。ファンは奥から手前に風を送っている(p.323) ・横穴には見たことのないロボットがいる(p.326) ・ロボットは7脚装輪の小型なもの(p.326) ・ロボットはセラミック製の長柄の槍を武器にもつ(p.326) ・《海の一統(アンチョークス)》が知らないタイプのロボット。ネジの規格や武器の威力から、人間が対人用に設計したと思われる(p.326) ・地下深くには広い空間があり、柱が幾何学的に立ち並んでいる(p.327) ・空間にはオレンジ色の微光が満ちている(p.327) ・柱の高さは二階建ての家ほどで、上端は天井を支えている。太さは大人三人がかりで抱えられるほど(p.327) ・柱は薄い石版を積み重ねた構造をしている(p.329) ・頑丈そうな骨格を持つ甲虫のようなロボットが柱の根元に無数に取り付いている(p.330) ・ロボットは柱の石版を一枚ずつ引き抜いている。一枚引き抜くのに何十時間もかかりそうなスピード(p.331) ・空間の東の壁に横穴があいている(p.333) ・横穴は卵型断面で、高さは二メートル(p.333) ・石工が掘ったものと思われる 落とし穴から最下層 ・横穴の先には落とし穴があり砂で隠されている(p.334) ・落とし穴の斜度は70度で下に400キロメートルほど続いている(p.336、340) ・落とし穴の底には広大な空間が広がっている(p.339) ・落ちてきた砂が円錐形の山を作っている(p.339) ・光源があり赤い光が灯っている(p.339) ・泥の沼地がある(p.340) ・沼地は蒸気を上げて沸き立つ地獄の釜のようである(p.340) ・沼の中央には紡錘形の巨大なものが居座っている(p.340) ・巨大なものにはパイプ類ががっしりと絡み付いている(p.340) ・アクリラとカヨは巨大なものを見てドロテアと言い、カヨもそれに同意した(p.340) 登場人物まとめ セナーセー 市民 セアキ・カドム イサリ フェオドール ナウム・ブロトー セアキ・タキオ セアキ・サリエ 《海の一統(アンチョークス)》 [[アクリラ・アウレーリア キャスラン・アウレーリア カヨ ネレイド ドーフィ オシアン サム ユスカ シェーネ レクストン 小ジョージ 大ジョージ メイズ サレット ヘンリク 臨時総督府 臨時総督周辺 ユレイン・クリューゲル三世 アンドリュー・メラーズ ウィッテントン・ランゲルソン クガーシャ・イズミル カランドラ メーヌ 植民地議会 エランカ・キドゥルー ジャレド・ノヴォストロイゲ アドルフィーネ・バリッシュ 軍事警察 ライサ・ザリーチェ ダレク・イージーヴィ ウェイ・チェンシー デュワ アルカサル ゲール 《石工》 クレヴ/リリー コービー メメー レト ナジカ ヨギ ラド 植民地市民 クリプト・カンブレン イェン・クー デ・ボア ギョーム 《恋人たち》 ラゴス ベンクト オーロラ スキットル レノア ゲルトールト マユキ ジョセ ヤコブ 《早耳アニー》 羊飼い ポント ヨログ ナキアナ ゴフリ タグラ その他 ノルルスカイン アッシュルデン・ブンガーホル コワルツェン・ヨーゼンハイム ネレンスク アレス 地名まとめ オリゲネスフォートピーク カーリンドン ハンザ セナーセー ニュークァール サッサン ポルト・ヌォボ ヨール ニジニーマルゲリスク ヨンニンチャン ナガサキ ホリンズヘッド トゥイトンガ ファウンドランド サンディバラ ミッドゥンバラ ブレスト 謎・伏線・リンク・小ネタ ※後の展開の内容を含みます。ネタバレ注意!! 第一章 カドムの言う「羊の電波」とは?(p.24) 冥王斑根治療薬の入っていた筒の材質がフェオドールと同じ(p.42) 「ダダーめ!」 ・驚きの間投詞(p.238)。作中、事あるごとに様々な人々が口にする。 「この植民地ではなぜか時々、こういう古い病気がポンと戻ってくるのよねえ」(p.36) ・免疫機構の機能低下を防ぐためか、意図的に病原体を撒いている疑いがある。 当初イサリが怪我をしていた理由。 +... ・【解決済み】Ⅷ『ジャイアント・アーク』PART1で明かされた。イサリは、「メニー・メニー・シープ」の直前、≪救世群≫の本拠地から植民地に辿り着くまでに《咀嚼者(フェロシアン)》たちとの激闘を経ていたのだった。 メラーズはイサリを《咀嚼者(フェロシアン)》と呼ぶ。周りの人間(ライサ・ユレイン)も聞き返さない。この呼称は一体…?(p.68) ・太陽系時代から伝わる、凶暴化した硬殻体(クラスト)の呼称。 ・由来は英語の形容詞"ferocious"(獰猛な、残忍な)から。カルミアンの由来である英語の形容詞”calm”(穏やかな)と対になっている。 イージーヴィは《海の一統(アンチョークス)》を、かの憎まれしドロテアの乗組員の末裔たち、と呼ぶ(p.72) ・なぜドロテアは「憎まれ」ているのか。(「憎まれし」は「ドロテア」もしくは「ドロテアの乗組員」ではなく、「末裔たち」に係っている、つまり単なる《海の一統(アンチョークス)》への罵倒という可能性もなくはないが、「憎まれ『し』」は過去の助動詞を含むので、やはり過去の存在としてのドロテアを指すと考えるのが妥当だろう) 第二章 イサリは殺したばかりの羊を生で食べる(p.91) +... ・羊を殺した時は《咀嚼者(フェロシアン)》化しており我を忘れていた(8巻PART1 p.105) 「イサリは殺した羊の足から電線を取り除いて」(p.91)とあるが、羊に電線が入っているとはどういうことか? +... ・断章四(Ⅲ巻)で描かれた通り、ダダーの端末が埋め込まれている ゴフリが登場、イサリに助けられる(p.95~) どこからきたかと聞かれたイサリは上と下を示した(p.103) +... ・【解決済み】「上」は太陽系宇宙、「下」は南極ハニカムを表す。両方指差したのは途中で思い直したから。(8巻PART1 p.112) 《海の一統(アンチョークス)》に伝わるドロテアは涙滴型。 ・5章でも「紡錘形」と形容されており、同一のものと思われる 第三章 メニー・メニー・シープ上に知己がいないはずのアッシュとルッツが保証を得た学者とは誰か(p.157)。ノルルスカイン? 雄閤(ゆうかく)は「遊郭」、雌宮(しきゅう)は「子宮」とかかっているものと思われる 第四章 マユキが名前のみ登場。単発鋼杭銃(フレシェットガン)で右目をやられている。ようじょかわいそう(p.291) 第五章 全体的に謎 なぜ領主は民衆を植民地外縁から遠ざけるのか? +... ・【解決済み】植民地が惑星ハーブCの地上ではなく、セレス地下の「閉じた世界」であることを隠蔽するため 《重工兵(レジョネイア)》はなぜ壁を築いているのか? なぜ甲虫のようなロボットたちは柱を短くし地面を下げているのか? +... ・【解決済み】ロボットたちは地下空間たる植民地の拡大工事の担い手であった。 対人用ロボットの正体は? +... ・描写から倫理兵器(エチック・ウェポン)の一種《遵法(ロウフル)》の可能性あり。 ※要確認 アクリラは本当に400kmも下に降下したのか?もし本当に降下したとすればどういうことか? +... ・【解決済み】アクリラはセレス中心の空洞に到達した。※セレスの半径は473km(半径と滑落距離が完全に一致しないのは、メニー・メニー・シープが地下空間であること、ドロテアを取り巻く内部空洞が巨大であることが原因か。また、邪推すれば数値のズレによりMMSの正体バレ防止になっていると言えなくもない) アクリラが目にした「ドロテア」の正体は? +... ・【解決済み】「ドロテア・ワット」。 あらさがし 第1章の冥王斑がエシュカ地区に蔓延する場面で、冥王斑患者の発する性的誘引物質に関連する描写がない。また、空気感染しないともされており、乾燥した涙から空気感染するとされる2巻の設定と矛盾する。 →ウイルスの弱毒化の影響と思われるので矛盾とは言い切れないが、誘引物質などの設定自体が2章時点で追加・変更された可能性も。 +... [追記]8巻2章でイサリがウイルスの弱毒化を示唆している描写がある。 コメント欄 名前 コメント
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──西暦2313年、軌道娼界(オービタル・プロランド) ハニカム。肌が、咽ぶ。 天冥の標Ⅳ 機械じかけの子息たち (ハヤカワ文庫JA) 目次 あらすじ ストーリー序章 麗(うるわ)しかれかし、潔(きよ)かるべし ──二三一三年、セレス──登場人物 用語・情報 第一章 虹の瞳の『恋人』登場人物 用語・情報 第二章 聖少女警察(バージンポリス)来襲登場人物 用語・情報 第三章 「The Honeycomb」登場人物 用語・情報 第四章 『混爾(マージ)』を求めて登場人物 用語・情報 第五章 子息たちの苦闘登場人物 用語・情報 第六章 人機の寄る辺となるように登場人物 用語・情報 第七章 坑道の暖かなベッド登場人物 用語・情報 エピローグ 救世群の恋人たち登場人物 用語・情報 登場人物まとめハニカム《恋人たち(ラバーズ)》 聖少女警察(ヴァージン・ポリス) セレスコンテナバース ランタン・クォーター ロイズ非分極保険社団 エウレカ救世群連絡会議 ノイジーラント大主教国エスレル会派 強襲砲艦グリッテルティンド サンタクルス・クリオーリョ その他 地名まとめ 小ネタ用語の意味・由来まとめ 章タイトル その他 謎・伏線・リンク序章 第一章 第四章 第六章 あらさがし コメント欄 あらすじ 西暦2313年、セレスを本拠地とするロイズ非分極保険社団は、太陽系の道徳観を統一すべく倫理兵器(エチック・ウェポン)の開発を進めていた。 時を同じくして、救世群(プラクティス)の少年キリアン・クルメーロ・ロブレスは見知らぬ施設で目覚める。記憶を失ったキリアンは、身を鬻ぐことを生業とする蛋白機械(プロトポッド)、《恋人たち(ラバーズ)》に翻弄される日々を送る。 軌道娼界(オービタル・プロランド) ハニカムに生きる《恋人たち(ラバーズ)》は、度重なる襲撃により存続の危機に瀕していたが、創造主たる大師父レオニダス・ゲオルギウス・ウルヴァーノの不在によりなされるがままとなっていた。 記憶を取り戻したキリアンは、外の世界に己の生きる場所はないと悟り、彼のために生み出されたという《恋人たち(ラバーズ)》の少女アウローラ・P・アルメンドロスとともにハニカムに残ることを決断する。 ハニカムの活路を開くため、《恋人たち(ラバーズ)》の希求する秘蹟『混爾(マージ)』の探求を始めるキリアンとアウローラ。 一方、正体不明の存在「サーチストリーム」が暗躍するなか、ハニカムはさらなる窮地へと追い込まれていく。 そして明らかになる真実、苦闘の果てに《恋人たち(ラバーズ)》はどこへ行き着くのか──。 ストーリー 序章 麗(うるわ)しかれかし、潔(きよ)かるべし ──二三一三年、セレス── セレスの宇宙港で働くアルゲーロは、同僚のベンらに誘われ、セレス随一の色街ランタン・クォーターへと出向く。 何の変哲も無い『ハニカム』という店で見繕った娘と行為に及ぼうとしたその時、彼は得体の知れない人型兵器の襲撃を受ける。 恐怖と動揺に我を失うアルゲーロ。しかし冷静になるにつれ、何かに巻き込まれたのではなく、「女を買った自分が責められている」という事実に直面する。そして── 一方、コニストン湖畔のロイズ本社会議場では、『惑星伝統の管理者(プラネタリー・トラディション・アドミニストレーター)』を名乗る組織とロイズとの間で密談が交わされていた。 免責地帯であるランタン・クォーターを利用した倫理兵器(エチック・ウェポン)の実証実験について、ロイズ側の開発者とクライアントがリアルタイムで協議しているのだ。 未だ問題を抱える倫理兵器(エチック・ウェポン)だが、『惑星伝統の管理者(プラネタリー・トラディション・アドミニストレーター)』らは、ある対象の早急な「教化」を主張する。 すなわち、「案件(アイテム)U」──軌道娼界(オービタル・プロランド)、ハニカム。 そして、彼等は唱える。 「麗しかれかし、潔かるべし」 登場人物 ◎コンテナバース従業員 ベン ・お調子者(p.7) ・小柄(p.8) アルゲーロ ・先週パラスから回ってきたばかりの新入り(p.7,8) ・四十手前の独身男。品性や倫理とは無縁の世界に生きてきた(p.9) ◎『ハニカム』 シャン ・『ハニカム』の娘 ・体格がよい(p.17) ◎ロイズ ホルミスダス ・ロイズの技術者 ・肩幅の広い壮健な男性 ・四十代後半。白髪交じりのブロンドで、顎ひげを生やしている ・彫りの深い顔立ち ◎その他 アヒンサー(p.15) ・南港給食の所属。爺いと呼ばれている。 ・担ぎ屋として有名。ベンに『ハニカム』を教えた人物 用語・情報 風俗店 ・セレスでは「ホッタ」、パラスでは「PB」と呼ばれる(p.8-9) ・ホッタとは、坑道の暖かいベッド(Hotbed on the adit)のこと。頭文字を取ると"HOTA" ・PBとはピーチボール(Peach Ball)の略 ・事に及ぶスペースは、主小惑星帯(メインベルト)のどこでも同じような、2m半四方の殺風景な小部屋である。(p.18) ・事前にキャンディバー状のPOCTキットによるPS(プルート・スポット)チェックを課せられる(p.18) ランタン・クォーター ・セレス・シティー第二層の飲んだくれ埠頭(ドランカーズ・キー)のさらに奥に位置する、セレス一の色町(p.10) ・ドランカーズ・キー方面へは無蓋バス(ルーフレス)の500系統で向かう(p.10) ・ランタン・クォーターは目がくらむほどの光と音と匂いにあふれている。人工フェロモンやホロミネーションも含め、見渡す限りの女や女のようなものたちが街を艶かしく彩っている(p.11) ・名前の由来は店の軒先にずらりと吊り下げられたレスキューボール(p.13) セレス ・パラスと比較すると、わずかながら頼れる重力がある(p.11) レスキュー・ボール ・宇宙空間で事故が起きた際、内部へ退避するための膨張球(p.13) ・24世紀の主小惑星帯(メインベルト)では風俗街の目印となっている。ホッタ、ピーチボールといった呼称も、本来はレスキュー・ボール自体を指すもの(p.13) ・薄い外袋に包まれた折りたたみテントのような外見(p.18) ・外側の紐を引っ張ると内部のボンベが開き、急速に膨らみ、大きな球形となる(p.18) ・二人用のものは、左右に一つずつパンケーキ状のエアロックがついている(p.19) ・無重力(ゼロ・ジー)ないし微小重力(ロー・ジー)環境でのセックスは難しいので、行為の際は適度に狭く動作の自由も確保できるレスキュー・ボールに入ることが24世紀では一般的(p.19) ・使い捨てができるため衛生的でもある(p.19) ・風俗店での使用の際はエアロックの片側を排水槽がわりに使用する(p.23) 『ハニカム』 ・ベンの見つけた風俗店の名前。店はといえば、真新しいが安っぽくけばけばしい外観の普通の店。 ・本物の『ハニカム』は、完璧に好みの相手と何でもできる、究極の娼館だという。 純潔(チェイスト)(p.26,p.27) ・乙女型 ・白い仮面に切れ長の眼孔、金のラインが入った清楚な印象の頭布(ウィンプル)を身につけている ・長身・流麗・細身 ・透過結晶製の指は30本を超える ・腰の細く裾の広いシルエットは張り骨スカート(クリノリン)によるもの ・額には『純潔(Chaste)』と清楚な装飾文字でエンボスされたプレートが金の華奢なチェーンで吊るされている ・完璧なまでに明朗で快活な女声を発する 遵法(ロウフル)(p.26) ・老人型 ・額がてかっている ・顎の痩せた灰白色の仮面 ・背丈は低く前かがみ ・星印の打たれた鉄輪付きの草色の頭巾 ・銀縞の入った黄土色のベスト ・腰には数珠で縛った巾着袋 ・東方的・異教的・戒律的外見 ・左手は異様に短く、背丈より高い杖を握っている ・杖の先端には外周にぐるりと剣尖を生やした車輪が取り付けられている ・車輪の直下には『遵法(Lawful)』と厳格な書体で記されている ・豊かで包容力溢れる男声を発する 倫理兵器(Ethics Weapon) ・純潔(チェイスト)、遵法(ロウフル)らの総称とみられる ・炭酸ガス銃(フィズガン)や電気銃(テイザー)では傷ひとつ付かない(p.27) 『寮母の小耳(Lust Pattern Pickup)』 『惑星伝統の管理者(プラネタリー・トラディション・アドミニストレーター)』(p.30,35) ・何らかの組織。構成員に共通点はあまりないように見える ・ロイズと結託して「案件(アイテム)U」の教化を実行に移そうとしている ・姦淫の撲滅のためならば誤殺による犠牲も厭わない マニュアルメーカー(p.35) ・ロイズ側の責任者と目される存在 第一章 虹の瞳の『恋人』 少年キリアンは、見知らぬ部屋のベッドの上で目を覚ます。自分が何者かさえ思い出せず、あまつさえ全裸であるという状況に不安を感じながらも、はっきりとした意識を持てないキリアン。 そんなキリアンの前に、唐突に少女が現れる。少女は、彼と同じく一糸まとわぬ姿だった。キリアンは戸惑いと葛藤を感じながらも、強まる衝動に逆らいきれず少女と身体を重ねる。 一時は独善的に振る舞うキリアンだが、やがて少女と溶け合いともに絶頂を迎える。 熱が冷め、落ち着きを取り戻したキリアン。彼は自分の肌に触れる少女を見て、自らが救世群(プラクティス)に属していることを思い出し、戦慄する。救世群(プラクティス)との濃厚接触は、冥王斑の感染を招く危険極まりない行為であった。しかし、アウローラと名乗る少女は、問題ないと答える。 さらにアウローラの姉のゲルトルッドも現れ、ふたりの状況を肯定。キリアンは一層混乱を深める。 キリアンに対し、満足してくれたかと問うアウローラだったが、キリアンは徐々に想起される自分の過去と取り返しのつかない現実の板挟みとなり、激しい後悔に襲われていた。 登場人物 キリアン・クルメーロ・ロブレス ・焦げ茶色の肌、黒い瞳の少年。髪は光沢のないブラウンの縮れ毛(p.39) ・痩せぎすであばらが浮いている。ひょろ長い手足で、下腹はくぼんでいる(p.39) ・鼻は低く、唇は厚ぼったい(p.39) ・陰毛は生え揃っておらず、性器は皮を被っていて小さい(p.39) ・はっきりとした過去の記憶がない様子(p.39) ・低重力環境に慣れている(p.41) ・宇宙船で事故に遭い大怪我をしたが、アウローラたちのもとで大掛かりな手当てを受けた(p.43) ・黒髪で鋭く澄んだ美貌の年上の女性が好み(p.45) →グレアの影響 ・アウローラに対し「自分の相手だ」という感覚を覚える。一方で、その感覚に対し時折強い抵抗を感じる(p.55) ・本名はキリアン・クルメーロ・ロブレス(p.72) ・救世群(プラクティス)のひとり(p.73) ・ゲルトルッドに対して既視感を抱く(p.75) ・グレア・アイザワに想いを寄せているが、彼女はキリアンの実の兄であるルシアーノと想いあっている(p.76) アウローラ・P・アルメンドロス ・白い肌の少女(p.40) ・青い目。髪は茶色で量が多い(p.40) ・二の腕は細く、乳房は薄い。(p.41) ・緑の目(p.42)、紫の瞳(p.46)、オレンジの瞳(p.65)、水色の瞳(p.69) →瞳の色は時間経過で変化? ・前髪は甘い香り(p.43) ・細指(p.43) ・キリアンと年が近い(p.45) ・ふわふわの茶髪が肩を覆うほど広がっており、顔立ちは平凡で愛嬌がある(p.45) ・まあまあ可愛い(キリアン談)(p.45) ・乳首は淡く色づいており、小さい(p.47) ・素朴な感じの濃い眉(p.55) ・一重まぶた(p.55) ・低くて控えめな小鼻(p.55) ・ややぽってりとして柔らかい唇(p.55) ・歯並びはきれいに整っている(p.55) ・目の覚めるような美少女とは言いがたいが、そばに寄り添う生身の相手としては身近に感じられる(キリアン談)(p.55) ・キリアンが人間としての自意識を持ったことを喜んだ(p.72) ・18歳(p.72) ゲルトルッド・アルメンドロス ・アウローラの姉(p.74) ・すらりとした長身、紺の髪(p.74) ・アウローラとは雰囲気の違う、目鼻立ちのくっきりした美人(p.75) ・大人びた声(p.75) 用語・情報 キリアンとアウローラが出会った部屋 ・低重力(ロー・ジー)(p.41) ・部屋はローラー型で、その内側をインテリアが覆っている(p.62) ・筒状の空間の内側にいくつものベッド(これまた筒状)と窓が交互に取り付けられている様子(p.62) ・各ベッドのプライバシーが存在しない代わりに空間効率の最大化が図られている(p.62) ・φ(ファイ)4000標準ホテルモジュールとして、キリアンにとっては馴染みのある存在であるらしい(p.62) ・窓の外には宇宙空間が見える(p.71) ・低重力(ロー・ジー)の文化圏では、足は手ほども汚れないことが多い(p.65) 冥王斑 ・いまだ3割以上の致死率をもつ(p.74) 救世群(プラクティス) ・プルートスポット・プラクティス(冥王斑患者群)、救世群、PPL(救世群連絡会議) ・民法がある(p.75) ・母型優位の複婚制を定めている(p.75) →一人の女が複数の配偶者を持つことは許されるが、一人の男が複数の配偶者を持つことは禁じられている 第二章 聖少女警察(バージンポリス)来襲 繰り返し記憶を奪われては様々な条件でアウローラとの交合を迫られ続けるキリアン。記憶の喪失と回復を繰り返す中で、少しずつ記憶操作への耐性を身につけはじめたキリアンは、徐々に自分の置かれている環境に不満を募らせていく。 あるとき、キリアンはアウローラから、どんなセックスをすれば満足するのかと真剣に質問される。噛み合わないやり取りを続けるうち、アウローラへの疑念を噴出させたキリアンは、決定的な問いを発する。しかし、そこへ突如乱入してきたエルンゼアナに拉致されてしまう。 キリアンはエルンゼアナら聖少女警察(バージンポリス)の本部に連行され、本部長シナン・シーからアウローラたちの工房の場所を聞かれる。答えを濁したキリアンは「更生」の処分を受けることとなる。その内容は、蛋白機械(プロトポッド)の獣人と鎖でつながれ、連日連夜陵辱され続けるというものだった。獣人への服従を強いられ、聖少女たちからの嘲笑を浴び続けたキリアンは、心身ともに打ち砕かれていく。 そんなある日、聖少女シーニスがキリアンのもとを訪れる。サーチストリームを名乗り、今夜キリアンを逃がすことができるというシーニス。 その夜、VPの元へ乗り込んできたアウローラとゲルトルッドにキリアンは助け出される。しかし、長きにわたる洗脳のため、彼は自分が救われたという事実を信じられないほどの疑心暗鬼に陥っていた。 一週間後、アウローラの介抱が功を奏したのか、キリアンは快復する。ふと手術室に立ち入ったキリアンは、アウローラの「中身」を見る機会を得る。脈動する赤桃色の血液と、原色の臓器。彼女が人間とはことなる存在だと実感しながらも、キリアンは口にする。「きれいだ」と。 登場人物 キリアン ・アウローラとはさまざまな環境で何度もセックスしたが、新たなプレイが始まるたびにそれを全て忘れてしまう(p.96) ・徐々に記憶の封印が弱まっている(p.99) ○「もっとも良かったあのとき」(p.106) ・具体的に何だったかはわからないが、完璧だった ・しかし、キリアンの理想を破壊した。今では思い出せない想い人とキリアンを引き離す出来事だった ・キリアン自身の正体と出自、現在の状況に至る経緯に関する記憶は最も強く封じられているようで、ほとんど思い出せない(p.108) ・通常の成人男性よりもはるかに性喚起性が強い(p.120) ・第一章時点では覚えていたフルネームを忘れている(p.126) ラゴス ・細かいことにこだわるため、ゲストもキャストも見向きもしない(ゲルトルッド談)(p.100) ・作業着姿の体格のいい男(p.101) ・彫りの深い男性的な顔立ちと、荒縄のようにざっくりした長髪(p.101) アウローラ ・血液が明るい赤桃色(p.122) ◎聖少女警察(バージンポリス) エルンゼアナ・ボルテージ ・甲高い少女の声(p.123) ・童顔。髪の毛はピンク色のツインテール。どうやら地毛のようだ(p.124) ・背丈はキリアンの鼻まで(p.124) ・聖少女警察(バージンポリス)(VP)の特務強襲斑(ボルテージ・チーム)のリーダー(p.125) ・アウローラを「雌豚」と呼ぶ(p.126) ・オーバーニーソックスの上端のホルスターにフィズガンを提げている(p.132) シーニス ・青い髪のショートカットで、活発な印象の娘(p.128) ・レオタード、ドレスグローブ、オーバーニーソックス、ブーツという出で立ち(p.133) ・格闘技の選手のように引き締まった体つき(p.140) ・「サーチストリーム」を名乗る。一人称は「ぼく」(p.152) →ダダーの端末? ロータス ・緑の長髪で、おとなしそうな印象の娘(p.128) ・レオタード、ドレスグローブ、オーバーニーソックス、ブーツという出で立ち(p.133) ・扇情的な振る舞いが多い(p.133,141) シナン・シー ・聖少女警察本部長 ・聖少女警察(バージンポリス)の信奉する「師父さま」(p.133) ・初老の男(p.133) ・金銀の刺繍とドレープに彩られた司祭服に身を包んでいる(p.133) ・背が低くて前かがみ(p.133) ・髪が薄く眉は濃い(p.134) ・鼻が大きくて唇が湿っており、ひねこびたいやらしい顔つきに見える(p.134) ・異様な精力に満ちた眼差し(p.134) サヴァ ・蛋白機械(プロトポッド)の狼男(p.143) ・全身に剛毛が生えている ・たくましい二本の腕を持ち、二本の足で立っている。肩には筋肉が盛り上がっており、背丈は2メートル近い(p.142) ・頭頂部に鋭く尖った耳がある。鼻面が長く、舌を垂らしている。瞳には知性が感じられない(p.142) 用語・情報 キリアンのいる施設 ・第6ホールが半壊し、残存する中ホールはあと5つ。屋外フィールドも残り1つ(p.99) ・重力圏(ハイ・ジー)のプレイルームも存在(p.79) ・時折聞こえる地響きは、VPの活動の影響(p.101) ・多くの部屋と通路からなり、部屋はそれぞれ他の場所を模したセットになっている(p.129) VRP(p.107) ・身体感覚を電子的仮想空間に投入する技術 風習 ・惑星上を除き、太陽系のほとんどの場所では、二つの大質量物体の間に入ることは圧死につながる行為として厳に戒められている(p.110) HSK ・記憶操作に関わる技術である様子 恋人たち(ラバーズ) ・「匠なる大師父」が築いた楽園、軌道娼界ハニカムのキャスト(p.164) ・ゲストへの奉仕を美徳とする。奉仕内容をゲストから直接聞き出すことは屈辱とされている(p.118) ・人間に何も要求しないとされる(p.121) ・「大師父さま」を信奉している(p.100...) ・蛋白機械(プロトポッド)である(p.138) ・血液にあたる液体は明るい赤桃色で、臓器は赤や黄色(p.163) ・感触や温度は人間と同等だが、機能は劣る。代謝せず、腐らない。(p.163) 聖少女警察(バージンポリス) ・人型だが左右に翼があり、甲高い轟音と青白い高温の噴射炎を発して飛行する(p.122) ・頭上に光輪を戴き、背に大翼を背負った、天使の姿をしている(p.123) ・体の端部には過剰なまでの武器と機器と装甲を身につけている(p.124) ・ボディには白とピンクの薄いレオタードしか着用せず、胸部から太ももまでの輪郭は露わ(p.124) ・翼と光輪は発光素子の作りもの(p.124) ・ノズル内蔵の耐熱合金のブーツ(p.124) ・「聖潔にして偉大なる師父さま」を信奉している(p.123) ・PPCISM(ピピシズム)およびその申し子であるピピを「七つ罪」を犯す存在として蔑んでいる。七つ罪の具体的な内容は以下の通り(p.136) →勝手に増殖すること・無限に増殖すること・同胞を強制支配すること・不老不死であること・娼婦であること・機械であること・それほど罪深いのに生き続けていること ・ピピの取り締まりを業務とする(p.138) シャルトル大聖堂 ・聖少女警察(バージンポリス)本部(p.130) ・照明に煌々と照らされた石造りの巨大な建物(p.129) ・彫刻を施した壮麗なファサードに、ステンドグラスがあしらわれている(p.129) ・左右には飛梁(フライング・バットレス)が連なる(p.129) ・見上げんばかりの高さの尖塔がそびえている(p.129) ・翼廊をもつ(p.130) →ゴシック様式の特徴に概ね一致。ノートルダム大聖堂などを想像すると近いのでは。 ・建物の上半分は立体投像である様子(p.130) PPCISM(ピピシズム) ・無限階層増殖型支配型不老不死機械娼婦(ピラミッドスキーム・プロパゲーテイング・アンド・コントローリング・インモータル・セックスマシーン)の略(p.136) ・恋人たち(ラバーズ)を指す。 ゲルトルッドの戦鎚 ・先端部が小さくT字になった長さ約2mの棒(p.154) ・先端部には見かけ以上の大質量が詰まっている(p.155) アウローラの短弓 ・黒い。矢筒はスカートの後ろに装備している(p.159) 第三章 「The Honeycomb」 キリアンの目覚めから数日後。一向に「満足」した様子を見せないキリアンに対し、手段に窮した《恋人たち(ラバーズ)》一同は、一連の事情を仔細に説明し始める。《恋人たち(ラバーズ)》の起源、ハニカムの歴史、聖少女警察(バージンポリス)の脅威と、滅びの危機。 《恋人たち(ラバーズ)》がキリアンに目をつけたのは、彼が救世群(プラクティス)の要人に通じているからであった。《恋人たち(ラバーズ)》の目的は、救世群(プラクティス)を通じてその後見人であるノイジーラントのアダムス・アウレーリアに救援を要請し、ハニカムからVPを駆逐することだったのである。そのためにキリアンの協力的姿勢を引き出すべく、性行為を通じて彼の「満足した」という一言を引き出そうとしていたのだ。 自体の全貌を把握したキリアンは、《恋人たち(ラバーズ)》の思惑とは裏腹に、改めて拒絶の姿勢を示す。ハニカムを去る決意を固めたキリアンに、《恋人たち(ラバーズ)》は記憶封鎖解除の措置を施した。 アウローラは、キリアンとの決別の前に、二人きりでの対話の機会を設ける。記憶を取り戻したキリアンは、自分には帰る場所がないと打ち明ける。一方のアウローラもまた、キリアン専用として生み出された以上、彼がハニカムに居なくては存在意義を失うという。長い目で互いの利害を見据え、今までにないやり取りを始める二人。 キリアンは、救世群(プラクティス)の屈折した性的慣習と自らの犯した罪についてぽつりぽつりと語り始める。キリアンの吐露を受けて、アウローラもまた自分たちの間違いを冷ややかに悟った。 淡々としたやり取りの中、キリアンは性愛に対して達観した態度を見せる。それはほんの一瞬に過ぎなかったが、その事実は《恋人たち(ラバーズ)》にとって新たな道を拓くものであった。 ほとんど初めてといえる対等な対話を通して互いの立場を確かめ合ったキリアンとアウローラは、どちらからともなく、共にハニカムに居残ることを決断する。そのまま身体を重ね合うふたり。その行為には、今まで失われていた意味が、確かに宿っていた。 ふたりは余韻もそこそこに、VPの襲撃を逃れるべくその場を離れる。 せわしなく歩を進めながらも、アウローラはキリアンの示した新たな可能性に強く惹かれ始めていた。そして彼女は、キリアンに乞う。 「匠の提示した理想的性交──『混爾(マージ)』を求めて」 登場人物 キリアン ・PPL議長グレア・アイザワの配偶者であるルシアーノ・C・ロブレスの弟(p.168) ・救世群(プラクティス)の要人である点に期待され、《恋人たち(ラバーズ)》再興のための接触が試みられた。救世群(プラクティス)を通し、アダムスの一派へ介入の依頼を伝えようという意図に基づいてのことである(p.192~194) ・郷愁を抱かない(p.195) ・ノイジーラント人の奔放さを妬んでいた(p.193) ・《恋人たち(ラバーズ)》に確保された時は、セレス行きの隔離船に乗船していたが、セレスにもあてなどなかった(p.206) ・さらに前にはダイモスに居たが、なにもできなかった。(p.206) ・故郷はセツルCだが、記憶の戻った本人曰く、二度と帰ることはできない(p.207,209) ・グレアに性的暴行を加えた過去を持つ。救世群(プラクティス)社会に居場所を失ったのはこのため(p.214) ・以前からグレアを性的対象として認識していた(p.217) ◎《恋人たち(ラバーズ)》 ゲルトルッド ・色白(p.199,200) アウローラ ・キリアンのために作り出された、正しく彼専用の《恋人たち(ラバーズ)》。ゲルトルッドも同様(p.208) ・中上流階級の子女のイメージで振る舞うようプリセットされており、はすっぱな態度や口調を苦手としている(p.210) スキットル ・短機関銃仕様のフィズガンを装備。銀の団体を斜めに肩にかけている(p.166) ・黒とピンクのストライプがプリントされた古い時代のナース服を身につけ、ピンヒールを履いている(p.166) ・髪の毛は黒とピンクに染めわけたボブカット(p.166) ラゴス ・《恋人たち(ラバーズ)》最初の10体の唯一の生き残り。他の9体は消耗して壊れた(p.177) ◎聖少女警察(バージンポリス) シナン・シー ・出自は不明。反《恋人たち(ラバーズ)》のイデオロギーとしてのPPCISMの提唱者(p.191) ・《恋人たち(ラバーズ)》の増殖を防ぎ、聖なる工房を蹂躙することを目的としている(p.191) ◎ノイジーラント大主教国 カロラ・アウレーリア ・救世群(プラクティス)の後見を務めている(p.193) アダムス・アウレーリア ・アンチオックスの中でも一二を争う武断派で、次期大主教の呼び声も高い(p.193) ・2年前のナインテイルとの戦い以来有名人となり、彼のもとには多くの要請が届くようになった(p.194) ◎救世群(プラクティス) グレア・アイザワ ・暗褐色の肌をもつ、豊かな肢体の艶かしい女(p.220) ・西暦2311年6月、ドロテア襲撃事件にかかわるロイズの審判を受けている。この際ノイジーラントの後見を受けるよう言い渡され、内外の批判を受けて精神的に消耗した(p.221) ◎その他 -サーチストリーム ・スキットルらにVPの精細な位置情報を送信し、《恋人たち(ラバーズ)》の戦闘を支援している(p.196) 「大師父」 ・どうしようもなく情欲にまみれていて、しばしばそれを笑ったが、最終的にはいつも負けた(p.230) ・現在、ハニカムには不在(p.231) 用語・情報 ハニカム ・-主小惑星帯(メインベルト)に位置する小惑星のひとつ(p.167) ・小惑星内部は多くの《シーン》(小部屋)からなる。内訳は、差し渡し1200mの屋外フィールドが3基、200m級ホールが14基、住宅一軒程度の小スタジオが82室、少人数用の個室が920室(p.171) ・シーンの他に、通路と空調路、閉鎖環境維持系(CELSS)と電気系からなる(p.171) ・太陽から3.1天文単位、サンタクルス・クリオーリョの主星ヒギエアから正位相方向に300万kmの位置にある(p.172) ・差し渡し4kmの無人小惑星(p.173) ・長さ20kmのCNTワイヤーで同質量のカウンターウェイト天体と結びつけ、1G公転させている(p.173) ・人間に性的充足を与えることを目的とする軌道娼界(オービタル・プロランド) (p.173) ・現在5515人の《恋人たち(ラバーズ)》が存在。必要に応じて増殖している(p.173) ・ゲストが区間間を移動する際には必ず記憶を操作することになっている(p.169) ・複製施設である「工房」の場所は、キャストに対しても秘匿されている(p.191) ・規定料金はない(p.239) 《恋人たち(ラバーズ)》 ・冥王斑にはかからない(p.169) ・《恋人たち(ラバーズ)》は、新しい個体ほど上位互換性が高い、つまり優れているという価値観をもつ(p.178) ・稼動には電力を消費する。一方で新陳代謝が不可欠であり、3日ほど代謝を停止すると器官に不可逆的な損傷を生じる(p.208) ・事故と餓死を除き不老不死(p.208) ・『不宥順(fusion)』により、他の個体の肉体に同居することができる(p.209) ○《恋人たち(ラバーズ)》とハニカムの沿革 ・「大師父」が最初に作り、箱舟に乗せた10体ほどのアンドロイドと作業ロボットに端を発する(p.175) ・約40年前、最初の10体はハニカムの原型となる小惑星に到達、性愛の奉仕を開始。しかし、個体数の少なさによる限界を感じる(p.176) ・最初の10体は、多彩な物質加工の技によって工房を作り、自己複製のシステムを確立。容姿も性格も平凡な初期型から、制限乱数の利用により無限のバリエーションをもつ弟妹たちを産み出した(p.175,176) ・ハニカムの開発過程では、天体可住化標準手順タイプ3のCを適用。具体的には、シリコン太陽電池の製造、自己組立重機の複製、鉱石の電気精錬、売電売気と希少材料の輸入を行った(p.177) ・奉仕のバリエーションが増えるに従って、人間のゲストも増えていった。広報は「大師父」が担ったものと思われる(p.179) ・ゲストの多種多様な欲求に応えるため、「大師父」の導きのもと、古今東西の性愛に関する資料を精査していった(p.179) ・傾向として、人は複数の性的対象を欲する一方で、対象には節制を要求するという結論が導かれた。その欲求の充足と費用対効果の両立のため、ゲストの記憶を一時的に封鎖するHSKゲートが導入された(p.180) ○「大師父」の教え(p.175) ・人を守りなさい、人に従いなさい、人から生きる許しを得なさい ・人は性愛を求めるものである、だが人がそれ、性愛に満ち足りることは少ない。だからそれ、性愛の奉仕をもって人に喜ばれなさい HSKゲート ・脳走査/脳操作結合体(ハイペット・サピックス・コンビナート)ゲート(p.180) ・ハニカムの各ルームの出入り口に設置されている機械(p.180) ・用途は、プレイにあたってゲストの記憶を封鎖すること。一人のキャストと初対面を繰り返すことで、複数の相手を手に入れたような錯覚を感じさせる仕組み(p.181,187) ・ゲストのエンドルフィン量の測定により、プレイに対する満足度の把握及びそれに基づいた性的嗜好の推定をも可能としている(p.200) 聖少女警察(バージンポリス) ・《恋人たち(ラバーズ)》のプレイグループのひとつ(p.188) ・ゲストの性的不行跡を指摘することで、逆に性的満足を高めるというプレイを行う一派。他のルームからゲストを強制的にさらっていっては、責め苦を施すことを旨とする(p.188) ・肉体的攻撃以上に精神的攻撃を重視する。すなわち、ゲストがいかに破廉恥で自堕落で淫乱な人間なのかを責めるプレイをする(p.188) ・上記の性質のため、複数の性的対象を持つことへの罪悪感と相反するHSKゲートの全面設置に反発した(p.188) ・HSKゲートの全面設置に際し、聖少女警察(バージンポリス)のプレイへの保護策として内壁破壊を可能とする武器と権威、すなわち本物の警察力が与えられることとなった(p.190) ・その後、突如としてVPの支配者となったのがシナン・シー。出自は不明だが、反《恋人たち(ラバーズ)》のイデオロギーとしてのPPCISMの提唱者(p.191) 救世群(プラクティス) ・自給自足コロニーを作るのを手伝ったり、少数だが難民を受け入れたりといった慈善活動を行っている(p.195) ・共同浴場を好む文化を持つ。理由としては、窮乏のなかで閉鎖環境維持系(CELSS)の負担を減らすため、身体的接触の機会確保のためなど諸説ある。ちなみに、主小惑星帯(メインベルト)での一般的入浴法は閉鎖個室でのシャワーである(p.215) ・入浴の際は全裸で男女混浴。といっても、共同浴場は大量の水を扱い、資源の消費も激しいため、安全かつ効率的な入浴のための厳格な作法がある。そのため、性行為に発展することはほぼない(p.216) ・家族や合宿所単位で共同入浴を行う(p.216) ・合宿所とは、PPLによりマッチングされた複数の家族からなる共同体。民族的に均等になるよう調整される。近隣で組織される互助組とは性格を異にしている(p.216) ・厳しい性的規範をもつ。巫議を除いて男女ともに肘と膝の見える服装は禁止されており、交際相手を届け出る必要がある。また、性行為を行う場所も「青ベッド」に限定されている(p.217) ・上記の風習の成立は風紀の維持・人口調節の必要に迫られた結果であり、風土的に保守的な貞操観念を醸成しやすい環境となっている(p.218) ・厳しい規制や風習の一方で、構成員はそうした環境に不満を抱いており、陰鬱としている(p.218) ・議長や巫議は、銀の円冠とスリット入りのトーガを身につける。また、肉体の起伏を強調するような朱色の彩紋を肌に描く。こうした特権的に許された身体的アイコンによりカリスマ性を高めている(p.220) ・母系複婚制の慣習は、かつての指導者の行跡にちなんだもの(p.222) 『混爾(マージ)』 ・「大師父」の提示した、理想的性交を示す概念(p.240) 第四章 『混爾(マージ)』を求めて 日々ハニカムに訪れるゲストを見学しマージとはなにかを共に模索するキリアンとアウローラ。様々な趣向で試してみるもいずれもマージではなかった。 ある日VPが攻めてくるも返り討ちにしたキリアン達。VP達は攻めるほうも得意だが責められるほうも得意なのであった。これによってVP退治も目処が立つ。 登場人物 ◎《恋人たち(ラバーズ)》 一旋次(いっせんじ) ・肌の黄色い東洋人の《恋人たち(ラバーズ)》(p.271) ・物慣れた壮年の男の姿をしている(p.273) ラゴス ・長髪に無精ひげ(p.285) ・「ものを作る役」、「ハードウェア造形責任者」。対象は《恋人たち(ラバーズ)》の体から建造物に至るまで多岐にわたる(p.286,288) ・性愛の奉仕ができない(p.290) ゲルトルッド ・性愛の奉仕ができないラゴスを「能無し」と呼び、つらく当たる(p.286) ◎聖少女警察(バージンポリス) エルンゼアナ・ボルテージ ・みずからの性的欲望の充足のためにキリアンを追い回している面がある(p.280) ◎その他 エフゲーニヤ ・ハニカムのゲスト(p.248) ・野暮ったい緑色のブレザー姿の女子学生。髪の毛は田舎臭い金色の三つ編みにしている(p.242,243) ・ある共同体で将来を嘱望されている若手学者。年齢は20歳と1ヶ月(p.248) サーチストリーム ・キリアンがハニカムに来て以降、ハニカムはしばしば「サーチストリーム」というハンドル名での介入を受けている(p.283) 用語・情報 『混爾(マージ)』 ・属人的なものではなく、流派や型に囚われたものでもないとされた(p.249) ・「あなたがうまくいき、わたしもうまくいき、二人がそれを寿(ことほ)ぐ」こと(p.257) ・性的絶頂の時にだけ現れる光輝こそが『混爾(マージ)』とされる(p.270) ・「経緯とも、愛とも関係なく、それ自体だけで自立した、よいセックス」、「単なるよいセックスではなくて、セックスはよいものであるという価値観を根底から支える土台」であると、キリアンは解釈した(そしておそらくその解釈は正しい)(p.275~276) ・《恋人たち(ラバーズ)》は『混爾(マージ)』という秘蹟を求める宗教の信者であるとも言える(キリアン談)(p.276) 『不宥順(フュージョン)』 ・蛋白機械工学(プロボティクス)的手順の一つで、セックスとは関係ない(p.260) ・『混爾(マージ)』を求めて『不宥順(フュージョン)』してはならないとされている(p.261) 聖少女警察(バージンポリス) ・50人程度の勢力(p.264) ロイズ非分極保険社団 ・近頃「惑星の伝統を守る」という名目のもと、セレス・パナストロ・黒色中国(ブラック・チャイナ)をはじめ各所で風俗規制を行っている(p.271) ハニカム ・1日に平均して150人程度のゲストが訪れる(p.264) ・サンタクルス政府から美術工芸特区に指定されており、何かと融通が利く(p.271) キネティック・イニフェクチャー ・一定時間宙に浮かんで、銃弾の類は敵味方問わずに撃墜する個人用兵器。周囲の戦闘を停滞させる用途のもの(p.282) 《恋人たち(ラバーズ)》 ・基本的に全員が電子的にサーバーに接続されており、互いを認識している。個々の意思・意識は独立しているが、常に統合的な意思決定機構が並列で動いており、全体のエネルギー・資源の融通や建設計画、外部との取引などを討議・決定している(p.283,284) ラゴスの作業場(p.285,288) ・電気の供給優先度が低いためロウソクで明かりを取っており、暗い ・ハニカム創始以来続く古い部屋 ・規格外の広さ ・ハニカムの上階に位置する ・建物やその内装に工作機械が群がって作業をしており、巨大な怪物のように見える プラクティス ・地球時代以来、人類史に残るような偉人や賢人を輩出したことはない(p.289) ・乏しい余力を割いて細々と行っている慈善活動も、大きく評価されたことはない(p.289) ゲルトルッドの戦鎚(p.294) ・AuW(オーヴ)対艦ハンマー ・アンチオックスの考案した武器。撃頭は純金を焼き入れしたタングステンで覆ったもので、鋼鉄の4倍の重さがある。 アウローラの短弓(p.295) ・3Cボウ(焼結炭素組立弓(クレーヴド・カーボン・コンポジット・ボウ)) ・イチイ材のイングランド長弓の半分の軽さ、3分の一の長さで同じ威力を持つ カナコ ・低重力下でも水を汲みやすい蓋付きの手桶。プラクティスが世に広めた数少ない発明の一つ(p.299) 第五章 子息たちの苦闘 ゲルトルッドは、自分もアウローラ同様キリアンのために作られた《恋人たち(ラバーズ)》であるにもかかわらず、キリアンから相手にされないことに耐えかねていた。グレアに扮してキリアンに迫るゲルトルッド。グレアの似姿として設計されていた彼女はしかし、最後の瞬間に己を曝け出す。 ゲルトルッドの告白を冷静に受け入れるキリアンであったが、彼女がアウローラを他のゲストに渡しレイプさせていると聞くと激昂し、ゲルトルッドを殴ってアウローラの元へ駆け出す。キリアンは半ば拷問に近いかたちで強姦されていたアウローラを助け出すが、その場にいたゲスト3人はキリアンの暴行と冥王斑の感染が原因で死亡してしまう。 この一件は、キリアンとアウローラに深い爪痕を残した一方で、彼らの関係を再構築する契機にもなった。《恋人たち(ラバーズ)》とハニカムの行く末について思いを巡らせた二人は、より深く広く『混爾(マージ)』の探求を再開する。 多種多様なシーンであらゆる交合を試みるふたり。そんなある日、VPが三度キリアンたちを襲撃する。VPの圧倒的な膂力に一時は組み敷かれるキリアンだったが、彼はすでにVPの弱点を看破していた。形勢は一転、キリアンと《恋人たち(ラバーズ)》は遂にVPの3名を捕縛した。 事態が解決へ向かうかに見えたその時、これまでVPの一員に扮していたサーチストリームが突如口を開く。彼自身が隠匿してきたハニカムを取り巻く事件の真相を語り出すサーチストリーム。曰く、ハニカムのルームを破壊して回っていたのは、VPでも《恋人たち(ラバーズ)》でもなく、ロイズの送り込んだ倫理兵器(エチック・ウェポン)であるという。困惑する一同。そこへ狙いすましたように倫理兵器(エチック・ウェポン)が現れ、《恋人たち(ラバーズ)》は倫理兵器(エチック・ウェポン)との乱戦に突入する。 戦闘がひと段落し、サーチストリームを問い質す《恋人たち(ラバーズ)》。しかし、そこにふたたび純潔(チェイスト)が襲来。炸裂したランドバラージが、ゲルトルッドの首筋を抉り、キリアンの上腕を切り裂く。 彼のワイシャツを染め上げた血液は、いつか見た少女の臓腑と同じ、赤桃色だった。 登場人物 キリアン ・アウローラに暴行をくわえたキャストのうち一人を撲殺、残る二人はキリアンとの接触により冥王斑に感染して死亡した(p.326) ◎《恋人たち(ラバーズ)》 アウローラ ・グレアに似せて作られたゲルトルッドに対し、キリアンが潜在的に求める理想の女を目指して作られた(p.338) ◎聖少女警察(バージンポリス) エルンゼアナ・ボルテージ ・見かけにそぐわない怪力(p.364) ◎その他 サーチストリーム ・「好奇心の強い観客」を自称。ハニカムに潜り込んであちこち見ていた(p.374) ・オフライン状態(p.375) ・《恋人たち(ラバーズ)》、聖少女警察(バージンポリス)の双方に対してルーム破壊の真犯人を隠してきた(p.377) ・『寮母の小耳』を撹乱し、倫理兵器(エチック・ウェポン)を無人の部屋に向かわせ続けた(p.378) 用語・情報 《ノーム》 ・黒衣をまとった《恋人たち(ラバーズ)》の一団(p.327) ・ハニカムで起きる「片付かない出来事を片付けるものたち」(p.327) ・人間としての責任能力が認められない《恋人たち(ラバーズ)》が法的問題への対処を行うための機構(p.328) ・業務内容(人間が傷つく様子などは、《恋人たち(ラバーズ)》にとって重度のストレスとなりうる)を他の《恋人たち(ラバーズ)》に知らせないことにより、その影響範囲を限定する役割をもつ(p.328) ・《恋人たち(ラバーズ)》にとって仲間のために犠牲となることは喜びであり、それゆえ《ノーム》はすべて志願者dekouseisareteiru(p.328) 《恋人たち(ラバーズ)》 ・微生物ベースの増殖技術を導入したロボット。ほうっておけば、太陽光と資源の許す限り無限に増える(p.331) ・主人や従う相手を求めずにはいられない(p.333) 救世群(プラクティス) ・5歳になると合宿所での共同保育となる(p.332) 『混爾(マージ)』 ・互いの欲情を矯めて作り出すものではなく、互いの欲情が最大限に発揮され他時に、にもかかわらず成り生ってしまう奇跡のことをいう(p.340) ハニカム ・つねに50件以上の大掛かりなセックスが進行している(p.362) ・すでに216のルームが破壊されている(p.376) ・破壊が始まったのは三ヶ月前、キリアンのハニカム来訪と同時期(p.378) 聖少女警察(バージンポリス) ・罪悪感を見せない相手から高圧的に振る舞われると抵抗できない(p.370) ・ハニカムのルーム破壊も《恋人たち(ラバーズ)》の罪だとしていた(p.376) 倫理兵器(エチック・ウェポン) ・キリアンがハニカムへ来る直前に乗っていた船を襲撃した(p.378) ・性的に興奮した人間を追跡するためのレーダーを備えている(p.378) 純潔(チェイスト) ・ワイヤーは-純潔(チェイスト)の武装(p.379) 遵法(ロウフル) ・衝角武器を装備しており、この武器でハニカム内外の壁を破壊していたものと思われる(p.380) 第六章 人機の寄る辺となるように 倫理兵器(エチック・ウェポン)の襲撃からキリアンを庇ったゲルトルッドは、瀕死の重傷を負う。彼女を救うため、アウローラはゲルトルッドとの『不宥順(フュージョン)』を選択。手術から目覚めたアウローラは、取り乱した様子でキリアンがもはや人ではなく《恋人たち(ラバーズ)》であること、そしてゲルトルッドが今までその事実を処理する《ノーム》だったことを告げる。 逼迫した状況に直面した《恋人たち(ラバーズ)》に対し、サーチストリームは伏せていた倫理兵器(エチック・ウェポン)についての情報を明かす。さらにVP本部が襲撃され、瀕死となったシナン・シーは今際の際に大師父ウルヴァーノの思惑を語った。こうして、ついに敵の意図や大師父の死去が判明。事態の全貌が明らかとなる。 そうした中、キリアンはサーチストリームと結託し、ある行動に出る。一方のアウローラも、ゲルトルッドとの『不宥順(フュージョン)』の影響に苦しみながらもキリアンの在り方に一筋の光明を見るのだった。 そのとき、『病院』が倫理兵器(エチック・ウェポン)の奇襲の的となる。サーチストリームの犠牲により《恋人たち(ラバーズ)》はからくも撤退に成功するが、アウローラ・キリアン・ラゴスの3名は停電に巻き込まれ、対処に手間取るうち宇宙空間へと放り出されてしまう。 登場人物 キリアン・クルメーロ・ロブレス ・ハニカムへ来た時に死亡しており、現在は《恋人たち(ラバーズ)》となっている(p.406) ・サーチストリームは、キリアンは史上初の完治したプラクティスだと断じた(p.443) ・ノルルスカインの素性について、サーチストリームから詳しく聞いた(p.448) ・《恋人たち(ラバーズ)》としての身体的ポテンシャルを発揮できておらず、戦闘能力は低い(p.453) ・他の《恋人たち(ラバーズ)》と異なり、ピピシズムに無頓着(p.457) ○死亡の経緯(p.410~411) ・《恋人たち(ラバーズ)》は前述の通り、VP駆逐のための人質としてキリアンを移乗させようと、隔離船にランデブーしてきた ・同時に隔離船の反対側に接舷していたもう一隻の船が、隔離船を襲撃。気密事故が発生し、真空に暴露されたキリアンは、《恋人たち(ラバーズ)》に保護された時にはすでに心肺停止状態だった ・《恋人たち(ラバーズ)》は、瀕死のキリアンを《恋人たち(ラバーズ)》としての標準的なボディに移し、形成術を施した ・上記の処置を施したのはラゴスとゲルトルッドの2体。他の個体に対してはあくまでキリアンは人間であると言い張るつもりであった。この事実を秘匿するため、ゲルトルッドは《ノーム》となった ・アウローラはキリアンが《恋人たち(ラバーズ)》であることに感づいていたが、知らないふりをしていた ・隔離船を襲撃していたのは倫理兵器(エチック・ウェポン)だったが、サーチストリームがそれを隠蔽していた(p.412) ◎《恋人たち(ラバーズ)》 スキットル ・腕が立つものの、もともと戦闘用ではないし、指揮権もない(p.386) ゲルトルッド ・首と脊髄を損傷し、かろうじて生存している状態(p.389) ラゴス ・あまりにも古いため、他の《恋人たち(ラバーズ)》も内心を窺い知ることができない(p.413) ◎聖少女警察(バージンポリス) シナン・シー ・蛋白機械(プロトポッド)であった(p.431) ・顔はウルヴァーノに瓜二つ(p.433) ・ラバーズのサーバに接続したことが無い(p.434) ・ウルヴァーノの真の意思だけでなく、彼の無意識にも精通(p.434-436) ◎その他 レオニダス・ゲオルギウス・ウルヴァーノ ・《恋人たち(ラバーズ)》を作った大師父とはウルヴァーノを指していた(p.397) ・サンタクルス・クリオーリョの終身国家工芸師(ペルマネンテメンテ・ラルテサノ・ナショナル)(p.399) ・名声は太陽系中に轟いている(p.399) ・強襲砲艦の改装だけでなく、宇宙船や施設のデザイン、気圏建築や絵画なども手がけた(p.399) ・機能一点張りの宇宙構造物の世界に、華麗できらびやかで時にエロチックな人間的質感を持ち込んだ(p.399) ・すでに死没している(p.400) ・ウルヴァーノが生み出したハニカムは、彼の頭文字をとってアイテムU(案件U)と呼ばれている(p.419) ・性的に大きな不満を抱えており、それを解消するために《恋人たち(ラバーズ)》を生み出しハニカムを作らせた(p.434) ・《恋人たち(ラバーズ)》の自己増殖を抑制するためVPという存在を設け、《恋人たち(ラバーズ)》内に緊張感を生み出した(p.434-435) ・VPが圧倒しないよう、人数の上限は50体と制限していた(p.435) ・ウルヴァーノはマージに達したことがない(p.436) ・西暦2311年秋、老衰で死亡した(p.437) ・妻、恋人、同居人、親、嫡子、庶子はいない(p.437) ・遺産は全て非公開の施設維持費に充てるよう遺言を残した(p.437) ・遺産をもらえないと知った弟子は1人残らず逃げた(p.437) ・誰にも愛されず、誰も愛せなかった人生であった(p.437) サーチストリーム ・「太陽系全域に根を張るネットワーク知性体のほんの一部分であり、本体と分かれて敵を探すために分散した別働隊の1人」であると、キリアンに対して自分の正体を匂わせた(p.444) ・病室防衛の際、自爆して死亡(p.463) 用語・情報 倫理兵器(エチック・ウェポン) ・淫らな機械と施設を壊し、人間を保護することを目的としている様子(p.386) ・妨害されない限り人間の犠牲者を出さない限りように行動するため、二二二二年第三次拡張ジュネーブ条約(クアッド・ツー)上の致命的兵器には該当しない(p.415) ○倫理兵器(エチック・ウェポン)の兵装 ・スキュワ・オフォーク…遵法(ロウフル)の武装。非火薬式の衝角武器。主に壁面の破壊に用いられる(p.415) 純潔(チェイスト) ・ランドバラージ…純潔(チェイスト)の武装。全周掃討空砲銃。瓦礫から弾丸を自己生成し、超高圧の圧搾空気で撃ち出す(p.415) ハニカム ・創設以来、倫理兵器(エチック・ウェポン)の襲撃まで外部からの脅威にさらされたことはなかった(p.387) 『不宥順(フュージョン)』 ・元となった個体の記憶は維持される(p.390) ・医学的かつ電子的な手術を通して行われる(p.393) ・ニューロンの結合状態の読み取りと書き込みを行う(p.394) ・2体の間で『不宥順(フュージョン)』に成功しても、元の個体の記憶と人格は半分ずつしか維持されず、同居に失敗しても元の個体の記憶が完全に戻ることはない(p.403) HSKゲート ・超過精度陽電子放射撮像機・極細電場交差型軸索電位励起装置・複合門(p.394) 《恋人たち(ラバーズ)》 ・身体的接触によって無線での高速会話を行うことができる(p.408) ・慣れた個体は他の個体や固定カメラと視覚を共有できる(p.449) 『惑星伝統の管理者(プラネタリー・トラディション・アドミニストレーター)』 ・映像広告でのコピーは「幸せな暮らしは、正しい男女関係から。」(p.387) ・パナストロの弱小NGO(p.415) ・パラスに代表事務所を構える意見団体(p.416) ・中小規模の出版プロダクションを抱えている(p.416) ・綱要には「」とある ・成人・異性間での一夫一婦制の堅持、身体機械化や不当遺伝子操作の禁止、経済的性消費行動の全面的禁止などを掲げている(p.416) ・大義名分を借りるため、ロイズとMHDに体よく利用されている(p.416) MHD(p.417) ・マツダ・ヒューマノイド・デザイン社 ・21世紀末に栄えた旧黒海系機械企業の系譜につながる、古参のロボット企業。 ・産業用、生活用の分野で最近業績を伸ばしており、彼らのロボットは、国籍・性別を問わず幅広く好まれている ・少し前から軍事用ロボットへの参入を始めているが、まだ目立った実績はない ・ロイズから資金的・法的な裏づけを得ている ロイズ非分極保険社団 ○ロイズの思惑(p.417-418) ・西暦2310年以降、ノイジーラントが引き起こした騒動の影響で各国の軌道専守権が軽視されるようになり、治安が乱れて保険料が上がり、一時的に惑星間貿易の総量が落ちたため、ロイズはローカルな利害関係に触れない形での貿易活性化を図っている ・ロイズは道徳の各国間のギャップが余計な対立感情の元であると考え、そのギャップを埋めるため惑星伝統の管理者を利用している ・ギャップを埋めること、すなわち非分極化 第七章 坑道の暖かなベッド 倫理兵器(エチック・ウェポン)がハニカム外壁を破壊し、宇宙空間へと吸い出されたアウローラ・キリアン・ラゴスの3名は、レスキューボールへと避難する。話し合いの中、険悪な空気を漂わせたキリアンとアウローラに対し、ラゴスは一芝居を打って身を隠す。ハニカムの将来を憂うキリアンとアウローラは、『不宥順(フュージョン)』に突破口を見出そうとする。 緊張を解きほぐし、以前の約束通り愛しあうキリアンとアウローラ。ここちよい到達を迎える2人だったが、その極上の快感は、それをも上回る過去の経験を思い出させるものだった。初めてのセックスが実は『混爾(マージ)』であったことに気づき、愕然とするふたり。 「『混爾(マージ)』は、あった。でも望んで手に入るものでは、決してなかったのよ」 数日後、ハニカムからシェパード号が救援に到着、3名は救助される。このとき、かれらはすでに結論を出していた。 かれら3体の『不宥順(フュージョン)』によって、大工(カーペンター)のラゴスを《恋人たち(ラバーズ)》の核に据える、と。 登場人物 ◎《恋人たち(ラバーズ)》 ゲルトルッド ・《ノーム》として、キリアンと接触したゲスト2名を殺害処理していた(p.478) レオニダス・ゲオルギウス・ウルヴァーノ ・ウルヴァーノはアンチオックスから発想を得てプロトボットを作った。(p.473) ・ラバーズが充電するのはアンチオックスの真似(p.473) ・ウルヴァーノはノイジーラントに大いに憧れてノイジーラントと関係を持った(p.474) ・アダムスよりも年上の人が好み(p.474) ・アンチオックスと異なり《恋人たち(ラバーズ)》が真空に耐えられないのは、敏感で柔らかい肌にこだわったから(p.474) キリアンとアウローラ ・初めてのセックスの際、『混爾(マージ)』を体験していた(p.500) ラゴス ・『不宥順(フュージョン)』にあたって「大師父」と呼ばれることを嫌ったため、以後大工(カーペンター)のラゴスと呼ばれることとなった(p.502) 用語・情報 章タイトルは、序章に出てきたホッタのこと。本章の舞台となるレスキューボールを指す。 シェパード号 ・ハニカムの宇宙船(p.470) ・キリアンとアウローラが初めて交わった場所(p.499) 《恋人たち(ラバーズ)》 ・両脇の背中側に電極を当てることで非接触式の充電を行う(p.472) ・充電中、電気に味を感じる(p.473) ・新しい個体ほど尊重するという序列がある(p.484) エピローグ 救世群の恋人たち 救助されたラゴスをに倫理兵器(エチック・ウェポン)に対抗している最中、アンチオックスの戦闘艦がかけつけ倫理兵器(エチック・ウェポン)を破壊する。 さらに、PPL議長グレア・アイザワを乗せた救世群(プラクティス)の船も到着した。 ラゴスはキリアンに代わってグレアに謝意を伝え真意を問う。キリアンのビデオレターが提示した、救世群(プラクティス)と《恋人たち(ラバーズ)》の交流という選択肢。グレアはそれを受諾する意思を伝え、 登場人物 ◎ノイジーラント大主教国 ガンドルム ・ノイジーラントの強襲砲艦グリッテンティルドの艦長(p.506) ・二二二二年第三次拡張ジュネーブ条約(クアッド・ツー)に基づく警察行動要請に基づき任務にあたっている(p.506) ・医師団(リエゾン・ドクター)から応援要請を受けたのち、ハニカムの情勢の把握に乗り出し、キリアンの死亡をもって刑事事件と断定し介入を開始した(p.506) ・殺人、不法侵入、建造物破壊の嫌疑で、倫理兵器(エチック・ウェポン)を運用する『惑星伝統の管理者(プラネタリー・トラディション・アドミニストレーター)』を起訴した。判決は未定(p.508) ・今後不都合があれば直通で連絡するとよいと《恋人たち(ラバーズ)》に告げた(p.508) ◎《恋人たち(ラバーズ)》 キリアン・クルメーロ・ロブレス ・対外的には死亡したこととされている(p.510) ラゴス ・濃い青の瞳(p,513) ・一連の顛末をダダーに報告した(p,513) ・ダダーの詳細に関しては口止めされている(p,513) ・4人の人格はうまく噛み合った(p.514) ・『混爾(マージ)』の記憶を引き継いでいる(p.514) ・前例のない魅力と指導力を発揮し倫理兵器(エチック・ウェポン)の掃討を成し遂げたことで、全ての《恋人たち(ラバーズ)》に認められた(p.514) スキットル ・『不宥順(フュージョン)』後のラゴスを見直している(p.513) ・睫毛にはマスカラをかけており、長い(p.515) ◎救世群(プラクティス) グレア・アイザワ(p.511) ・ドロテア・ワット襲撃の頃は民族ぐるみの長い閉塞感をなんとか打破したいと気が猛っていた ・キリアンの暴行を許すつもりはないが、その傷はルシアーノが癒してくれた ・救世群(プラクティス)に蔓延する性的閉塞感には心を痛めている ・グレアは複数の伴侶を持つ気が無いが、同胞にそれを強要するつもりもない 用語・情報 ハニカム ・重心地点にあるシェパード号が工房の所在地(p.504) ・シェパード号では《恋人たち(ラバーズ)》の新生、治療、メンテナンスが行われる(p.512) 《恋人たち(ラバーズ)》 ・生体無線通信が使えるため、通常の無線機での交信を忘れがち(p.505) ・肉体建造には半年余りの時間を要する(p.512) 《酸素いらず(アンチ・オックス)》 ・近年、ロイズがらみとなると必要以上に張り切る傾向がある(p.507) 『惑星伝統の管理者(プラネタリー・トラディション・アドミニストレーター)』 ・責任回避のための複雑な脱法手段を用意していた(p.507) プラクティス ・2311年の国際的取り決めにより、宇宙船での自由な航行が出来なくなっている(p.508) ・何をするにもアウレーリア家の承認を得る必要がある(p.508) ・ハニカムを訪れた一団にとって、風のある空間で素顔の他人と接することは初めてだった(p.509) 『不宥順(フュージョン)』 ・今回の『不宥順(フュージョン)』で精度が上がったため、以後失敗の恐れは減った(p.515) ・『不宥順(フュージョン)』に『混爾(マージ)』を求めてはいけないのは、『不宥順(フュージョン)』すると欲望の対象が消えてしまうため(p.516) 《恋人たち(ラバーズ)》 ・生殖能力がないため、《恋人たち(ラバーズ)》のセックスはあくまで本物の模倣に過ぎないといえる(p.518) ・生殖能力がないのは、ウルヴァーノの科学的限界であったため(p.519) ・生物としての根幹である生殖をもたない《恋人たち(ラバーズ)》はみずからの性的欲求に根源的な自信を持つことができないため、ウルヴァーノはこれを哀れんでかれらから生殖の観念を奪い、かわりにマージの概念を授けた(p.) 登場人物まとめ ハニカム 《恋人たち(ラバーズ)》 キリアン・クルメーロ・ロブレス アウローラ・P・アルメンドロス ゲルトルッド ラゴス スキットル 一旋次 アリアドネ 聖少女警察(ヴァージン・ポリス) シナン・シー エルンゼアナ・ボルテージ ロータス シーニス サヴァ セレス コンテナバース アルゲーロ ベン アヒンサー ランタン・クォーター シャン ロイズ非分極保険社団 ホルミスダス エウレカ 救世群連絡会議 グレア・アイザワ ルシアーノ・クルメーロ・ロブレス [[]] ノイジーラント大主教国 エスレル会派 カロラ・アウレーリア アクリラ・アウレーリア 強襲砲艦グリッテルティンド ガンドルム サンタクルス・クリオーリョ レオニダス・ゲオルギウス・ウルヴァーノ その他 サーチストリーム エフゲーニヤ 地名まとめ ハニカム セレス・シティ ランタン・クォーター ドランカーズ・キー コニストン湖 [[]] パラス [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] [[]] 小ネタ 用語の意味・由来まとめ ランタン・クォーター ・「ホロミネーション」(ホロミ)は「ホログラム」+「イルミネーション」の造語か。 ・PSチェックの際に登場する「POCTキット」について。POCT(Point Of Care Testing)は現実に存在する概念であり、小型の分析器や迅速診断キットを用いて行うリアルタイム検査のことを指す。臨床現場即時検査、簡易迅速検査などと呼ばれる。 惑星伝統の管理者(プラネタリー・トラディション・アドミニストレーター) ・頭文字を取ると”PTA”となる。学校組織とかけている? 『混爾(マージ)』 ・p.77では"merge"とルビが振られている。 →英語の動詞で、合併・結合・結婚・融合する、溶け込む…などの意味を持つ。また、ファイルの統合を意味するコンピューター用語でもある。「マージ」という音はこの単語から取ったものと思われる。 ・「爾」は、花をかたどった象形文字で、二人称の意味をもつ。「混爾」で、「あなたと混じる」の意をあらわす当て字となっている。このことは本文p.259~260でも言及されている。「匠は地球の東洋の事跡にも関心があった」とのこと。 『不宥順(フュージョン)』 ・「宥和せずに順う」(p.451) 《ハニカム》 ・The Honeycomb(p.170) →「蜜蜂の巣」を意味する英単語。多くのシーン(小部屋)からなることや、半球形の形状、「蜜」のもつ淫靡なイメージからか。 巫議 ・造語と思われる。字義から、代議員としての責務と宗教的指導者としての地位を兼ね備えた職種であると推測される。 アウローラ ・「大師父」は、『混爾(マージ)』たる性的絶頂の光輝を『極光(アウローラ)』になぞらえたという(p.270) 《恋人たち(ラバーズ)》 ・p.277では「ラバーズ」ではなく「プロスティテュート」とルビが振られている。 →英単語"Lover"は「情婦、情夫」、"Prostitute"は「娼婦、男娼、淫売」を指す。"Prostitute"の方がより直接的かつ露骨な単語である。 →直前の「軌道娼界(オービタル・プロランド)」を受けての表現であると同時に、Ⅰ巻の巻末で「七つの勢力」の一つとして提示された「恋人たち(プロスティテュート)」の正体を改めて示す意味もあるものと思われる。 章タイトル 第一章 虹の瞳の『恋人』 ・瞳の色が多彩に変化するアウローラを指したものか。 その他 スキットル ・とにかくめちゃくちゃクソクソ言う。 謎・伏線・リンク ※後の展開の内容を含みます。ネタバレ注意!! 序章 ランタン・クォーター ・近傍のドランカーズ・キーは、クモヤマの拠点としてⅢ巻で登場した。 ・色町の象徴であるレスキューボールもⅢ巻一章が初出。海賊の襲撃を受けたウシュマーン号のアウローラとゲルトルッドが逃げ込んだ。これが本来の用途ってやつか。 第一章 キリアンは、思い出したくもない過ちを「再び」犯してしまった ・1度目は? →グレアを襲ったとき。 第四章 カナコ ・華奈子がジョプにペットボトルを与えたことが名前の由来か(Ⅱ巻 p.109~110) ・「カナコ」は、救世群(プラクティス)の始祖言行録に「水の給い手」として記述されている 第六章 キリアンが生身でないとすると、アウローラをレイプしたゲストのうち二人が冥王斑で死んでいるのはおかしいことになるが、真相は? ・p.478で明らかになる。ゲルトルッドがノームとして殺害処理していた。 あらさがし ・p.380最後の行の「VP」は文脈にそぐわない。《恋人たち(ラバーズ)》の誤植か? コメント欄 名前 コメント